スタンフォード流、修羅場のリーダーシップ 真のリーダーは、どんな選択をすべきか?

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教授に出会う前は、『日本人だから』国際的なチームでリーダーシップをとるのは難しいんじゃないかと思っていましたが、それは言い訳にすぎず、真のリーダーとしての人格と意識を磨けば、必ず道は開けると確信するようになりましたね」

たとえ不合理に思えても、直視し、対峙せよ

2013年1月。留学生活も残り少なくなった水島さんが、どうしても履修したかった授業が、ジェフリー・フェファー教授の「Paths to Power」(権力への道)だ。

水島さんが感銘を受けた、ジェフリー・フェファー教授の授業

水島さんは、スタンフォードで習得したさまざまな知識を、実社会で実践するためには、リアルな人間関係を理解し、EQ(情動知能)とコミュニケーション力を磨くことが不可欠だと感じていたからだ。

フェファー教授は、1979年からスタンフォードで教鞭を執る名物教授。組織行動学の専門家で、著書に『事実に基づいた経営―なぜ「当たり前」ができないのか?』(東洋経済新報社)や『「権力」を握る人の法則』(日本経済新聞出版社)などがある。

この授業では、人間の感情、エゴ、バイアスなどから発生する組織の力学や、その中でどのように行動していくかを、ケースやグループディスカッションなどを通じて学ぶ。

授業で取り扱われるテーマは、リアルそのもの。

Bさんは、シリコンバレーのIT企業のミドルマネジャー。直属の上司とソリが合わないせいか、他の同僚に比べて、チャンスを与えてもらえていないと感じていた。この状況をうまく改善するには、どうしたらいいか?

フェファー教授は、「上司との関係が悪いからチャンスを与えてもらえない」と嘆くのではなく、その現実をまず受け入れる。そのうえで、「チャンスを与えても らうにはどうしたらよいか」、考えるべきだと投げかけた。すると、学生からさまざまな意見が飛び交った。

「上司の上司と仲がいいのであれば、その関係をフルに生かして、相談してみるのが先決では?」

「外部のクライアントとのネットワークをより深め、自然とそこから自分の評判が伝わるようにするのはどうだろう」

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