ハーバードで瓦解した「今までの価値観」 恋愛にキャリアに生き急ぐ、ハーバード女性たち

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そうは言っても、当時私は31歳。周りは平均26歳くらいだったので、彼らより仕事の経験は長い。自分の経験を踏まえた知見や、大多数のアメリカ人にはない多様な視点に寄与する発言をしていけばいいんだ、と徐々に理解することができました。しかし、それには、自分が発言する機会をもらったり、自分の発言を生かしてもらったり、というサポーターが必要。したがって、人脈づくりにもかなり意図的にチャレンジしました。

HBSでは勉強だけでなく、パーティもボランティアもスポーツも積極的に参加して初めて一人前だと認められ、インサイダーになれるところがあります。すべてを両立するためには、タイムマネジメントが重要。しかも本来は、将来にわたって仲間となりたいかどうかが問われているわけで、仲間にしたいかどうかの基準は、全人格的な評価ということになるわけです。

私は勉強で貢献できるわけではないと思っていたので、セクションのイベント担当、日本流にいえば「宴会の幹事」のようなことを積極的に引き受けることで貢献することにしました。誰でも、おいしいものには弱いので、「胃袋を押さえる作戦」と称して寿司パーティを催したり、「カラオケナイト」を開催したりと、工夫や努力をしたおかげで、「同じ釜の飯を食った濃い関係性の仲間」が世界中にできたのは大きな財産です。彼らがクラス内外で私の後押しやフォローをしてくれたのは、言うまでもありません。

熾烈な「未来のパートナー獲得戦争」

HBSの人間模様で面白いと思ったのは、女性と男性では圧倒的に女性のほうが「生き急いでいる」こと。なぜなら、彼女たちはハーバードに来る時点ですでに「価値の選択」をしているのです。もしかしたら、HBSに入学してしまったら、ビジネスでは成功するかもしれないけれど、結婚は遠のくかもしれない、という腹くくりのようなものです。

男性が結婚相手として自分より学歴の高い女性を敬遠するのはアメリカでも同じなので、彼女たちのモテにくいことといったら東大卒の比ではありません。だからHBSの女性たちは、パートナーを探すなら今、付き合っている人と結婚するか、HBSの中で見つけるしかないとわかっているのです。

逆に男性たちは、どんなにオタクっぽくてもHBSというブランドだけで急激に恋愛市場での市場価値が上がるわけです。

したがって、校内では熾烈な「未来のパートナー獲得戦争」が繰り広げられており、友人たちの攻め方はかなり戦略的だったとも思えます。「ビバリーヒルズ青春白書」顔負けの恋愛模様は日常茶飯事であり、私もしょっちゅう恋愛相談に呼び込まれていました。

親しい友人女性を見てみると、ほとんどがHBS内結婚か、当時の彼と結婚をしています。さすがに目標を達成する力が強い、という感じですね。

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