「子どもに当たり散らす親」がいずれ陥る悲劇 「しつけ」という言葉ですべてを片付けるな

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なんの苦行かなと思うくらい、気の毒ですね。最初から靴を脱がせるなり、親が自分の膝に抱いて足を抑えているなりすればいいわけですが、それはせずに、不毛なやり取りが繰り返されます。

子どもに社会ルールを教え、マナーを守らせることはもちろん大切です。しかしいちばん気になるのは、その注意の仕方。「表情も音調も冷たく、言い放つ」のと「優しく諭す」のとは正反対。見ているこちらまでヒヤっとすることもあります。

こういった気持ちも凍るような冷たい対応を、子どもはほかの友達や親に、いずれするようになります。よく「しつけ」としてやったという言葉を耳にしますが、しつけは社会規範、道徳などを教えることであって、冷静で客観的な視点が大切なわけです。ですから、親自身の怒りやイライラをぶつけることとは相反するのです。親がイライラしてしまっている時点で、すでにしつけは無理です。

機嫌がいいときにはおもちゃを出しっぱなしにしても怒らないのに、機嫌の悪いときだけ「いいかげん、片づけなさい!」と怒鳴るのは、しつけでも何でもありません。感情のままに当たり散らしているだけです。そのことを、自覚することが大切です。

親も子どもに弱いところを見せていい

親も、ひとりの人間、イヤなことも悲しいこともあります。ですから、その感情が子どもに向いてしまう前に、怒りやイライラがどこから来ているものなのかを、認識することが必要なのです。さっきもらったママ友からのメールの内容にカチンと来ているのかもしれないし、今朝の夫との喧嘩かもしれません。それは、子どもには、直接関係のないことです。

そのことを、まずは自分で自覚し、必要な場面で子どもに伝えてください。子どもは、「親の機嫌が悪いのは自分のせい」と受け止める場合が多く、つねに親の顔色を見るようになるのです。

子どもから話しかけられて、対応できる気分じゃない時もあるでしょう。そんな時「うるさい」「今、忙しい」などと応えるのではなく、「今、ママはこんな気持ちで話ができないけど、それはあなたのせいじゃない」ということを伝えてほしいのです。親も弱いところを見せていいわけです。

その時に、きちんと気持ちを言葉で表現するようにして下さい。そのためには、自分の気持ちを自分で把握する必要があります。これは、子育てだけではなく、ストレス全般をケアするために大切です。なんとなくイライラするというだけでは、解決に至るのが難しいからです。

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