「ペットの病気」は飼い主をここまで苦しめる

もはや「たかが犬猫」では片付けられない

同様に猫を飼っている友人には、「うちの猫がそんなカネのかかる病気になったら手放す」と言われたが、杉山さんにはまったく理解できない。「僕にとってジダンはなくてはならない存在。この子さえいればいい、と思うぐらい」。

日本社会の倫理観の問題でもある

週刊東洋経済は9月5日発売号で、「みんなペットに悩んでいる」を特集。ペットの病気と介護についての飼い主たちの悩みに向き合い、関連する情報を総力で集めた。ペットの問題は日本社会の倫理観の問題でもある。

「たかが犬猫」という言い方がある。特に杉山さんのように血統書付きの純血種でもないペットにおカネをかけることは、動物を飼ったことがない人には理解しにくい感覚だろう。「たかが犬猫」の風潮があるゆえに、ペットに悩む人は、その気持ちを友人などに打ち明けられないという悩みを同時に抱える。

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「かわいそうだけど、そこまでやる?猫でしょう」。愛猫の原因不明の病気でいくつもの病院をはしごした東京都の女性はそう昔からの友人に言われ、深く傷ついた経験を持つ。

だが社会の実態をかんがみると、ペットはもはや「たかが」ではない存在だ。2015年の犬と猫の国内飼育数は1978万匹。15歳未満の人口よりも361万多く、数的には子どもよりも大きな存在だ。飼育世帯は1357万を数え、全世帯の4分の1に上っている。博報堂生活総合研究所の調査によると、ペットを家族の一員だと思う人は54.6%を占めている(2014年、首都圏と阪神圏の3201人が調査対象)。

人は何かが大切であればあるほど、それについて悩み、不安を抱く。その対象を失うことが怖いからだ。飼い主が愛犬・愛猫の健康に悩むのも、人間の家族についての悩みと何ら変わりはなく、そこに優劣をつける必要もない。日本の飼い主はもっと堂々と悩んでよいのだ。

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