訪日客によるショッピングを喚起するため、政府は次々と訪日客を優遇する政策を打ち出している。その一方で「(消費税免税手続きができる買い物額の引き下げなど)訪日客への優待制度だけが拡大し、日本国民には恩恵らしい恩恵がないのは不公平」、あるいは「来日する外国人の消費に大きく依存するのはいかがなものか」といった見方もあったようだ。
ただ、中国人訪日客の出費は中国の景気停滞に加え、中国側税関検査の強化などにより、大きく落ち込んでいる。7月20日に観光庁が発表した「訪日外国人消費動向調査」によると、2016年4~6月期の中国からの訪日客1人当たりのショッピング消費額は12万3597円と、前年同期と比べ29%も減っている。
国際空港の入国エリアに免税店を設置へ
そんな中、8月27日に興味深い報道があった。国土交通省が2017年度税制改正要望において国際空港の入国エリアに免税店を新規設置するプランを打ち出したというのだ(時事通信の記事はこちら)。伸び悩む訪日客のショッピング需要を喚起したい思惑もあるようだが、どちらかといえばこのスキームで得をするのは訪日外国人ではなく日本人の海外旅行客といえる。
現状、日本の出国時に免税店で欲しいものを買ってしまうと、旅行中ずっと持ち歩かなければならない。特に「荷物を預ける手数料がもったいない」と考える格安航空(LCC)利用者にとってはかなり頭の痛い問題だが、帰国時に免税店に寄れるチャンスができるなら、飛行機を降りてから気兼ねなく買うことができる。
では、「入国エリアの免税店」はどのような仕組みで運営されているのか。国外の例を参考にしながら説明してみよう。
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