「最近、免税たばこはあまり安くない」という嘆きをよく聞く。先進国を中心に禁煙を勧める動きが活発なことから、確かにたばこの値段は割高になった。しかも、欧米の空港では日本製たばこを扱っているところは少なく、「得体の知れない外国製の高価なたばこを買うくらいなら、買わないほうがマシ」と考える旅行者が多いのも頷ける。
かつて「海外旅行帰りのお土産といえばブランデーかスコッチウィスキー」という時代もあったが、いまでは外国産の酒類はそれほど珍重されておらず、むしろ国産の高級品の方が喜ばれる傾向があるようだ。そんな背景もあって、免税範囲を使い切らない人はかなりの数に上っていそうだ。
また、シンガポールや香港のように、たばこの免税範囲が極端に小さい地域への旅行の場合、日本でたくさん買い込むと現地でしっかり課税されてしまう。
このように見て行くと、「入国エリアの免税店」ができることで「日本製たばこやお酒が一般の市価より安く買えるなら欲しい」という需要が改めて掘り起こせるのではないか。
「行きに注文、帰りにピックアップ」が理想
せっかく「入国エリアの免税店」が設けられるなら、それと同時に「出国時の予約注文および帰国時の引き渡し」ができるシステムの導入を期待したいものだ。
もっとも注文者が出国する空港と帰国する空港が異なる場合にどうするか、あるいは注文者が出国後に帰国便を変更した場合にどう対応するか、といった細かい問題も出てくる。しかし、新スキームの導入によるインパクトと比べたら些細な問題だろう。
帰国時の引き渡しが可能になるのなら、こんな取り組みも考えられる。今年になって、銀座のデパートなど数カ所に国内関税や消費税なしで購入できる「市中免税店」が開設されている。中国人による爆買いのピークが過ぎたタイミングでのオープンとなり、出足が順調とは言えない状況にあるようだ。そこで、市中免税店での購入商品を帰国時にピックアップできるようにしたら、時間のある時にデパートでのんびり品定めができる上、それが市価より税金分安いとなれば、訪日客にとって大きなインセンティブとなる。
これまで入国エリアの免税店の開設をして来なかったのは、国土交通省内に「国内で消費する物を海外から帰国した人だけが免税で安く買えるのは不公平」という考え方があったためのようだ。LCCなら1万円ほどで海外に行けるようにもなった。実際に運用が開始された時、どの空港にどんな商品が揃えられ、販売方法がどうなるか。流行るかどうかは、いかに魂を入れるかにかかっている。
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