高畑淳子さんを責めても何も解決しない 性犯罪の加害者家族が直面する社会の圧力

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「親と子はそれぞれまったく別個の、独立した人格を持った人間である、という考えが根付いている欧米に対し、日本では加害者とその家族が同一視される傾向が強いです。家族に対して『犯罪者の血が流れている』といった言い方をするのを聞いたことがある人もいるでしょう。それによって罪を犯した当人は刑務所のなかで守られ、社会にいる家族が排除の対象になるという歪んだ現象が起きます」(斉藤氏)

現在、高畑淳子さんをCMに起用している企業の一部が、その放映を中止すると発表した。被害女性だけでなく、過去そして現在、性犯罪の被害に遭ってる人たちへの配慮もあるのかもしれないが、事件を起こしたのは高畑淳子さんではなくその息子である。母であるという理由で彼女を排除する動きが、すでに始まっている。

育て方が悪かったのではないかと自責

「日本の社会において子育てを担っているのは主に女性です。それゆえ母親は『育て方が悪かったのではないか』と自分を責め、社会からも責められます。子どもの父親である夫から責められる場合もあります。それと同時に、息子が女性に対して酷いことをした事実を同じ女性として受け入れられなかったり憤ったりという気持ちもありますから、板挟みになってしまいます。これを加害者家族におけるダブルバインド現象と呼んでいます」

まさに26日の記者会見では、メディアから子育てについて問われるシーンがあり、高畑淳子さんは「自分なりに精いっぱいやったつもりですが、このようなことになった以上、何もいえることではないと思っています。私の育て方が悪かったと思っています」と答えている。そして、被害女性に対して「もし自分の娘だったら、と考えなければいけない」という発言も聞かれた。

「でも実際には、多くの性犯罪加害の背景に、生まれ育った家族からの影響はそれほど大きくないことがわかっています。性虐待を受けていたなど、生育歴が影響しているケースもないわけではないのですが、多くの加害者は『学習された行動』として性犯罪を行い、くり返し、そしてスキルアップしていきます」(斉藤氏)

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