国連が定めた「難民救済策」は機能していない 新たな支援システムと日本の関与が必要だ

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さらにUNHCRの報告書では難民の受け入れ数を難民受け入れ国の経済規模=1人当たりGDP(国内総生産)と比較している。上記のように難民受け入れ国の大多数は発展途上国であるため経済力が乏しいなかで多くの難民を受け入れる格好となる。

この統計ではアフリカ諸国が上位10カ国のうち8カ国を占めている。1位のコンゴ民主共和国(Democratic Republic of Congo)は発展途上国のなかでもとりわけ社会・経済発展が遅れている後発途上国(Least Developed Countries)の一つに数えられており、1人当たりGDP(国内総生産)はわずか450ドルに過ぎない。その一方、2015年末時点で約40万人の難民が同国に滞在している。両者の比率を試算すると国民1人・1USドルのGDPに対して471人の難民を抱えているという計算になる。

人生の半分近い期間を難民として過ごす

最後のポイントは「難民状態の長期化」である。UNHCRの重要な使命のひとつは不幸にも難民となってしまった人達を「難民でなくする」ことである。それにはUNHCRが定めた3つの「持続的解決」という手段がある。

一つ目は内戦などの終了に伴い難民が自発的な意思で自国に帰る「本国帰還」、二つ目が避難した亡命国で永住権を得るなどしてその国に住み続ける「避難先定住」。そして最後が祖国でも亡命国でもない別の第三国(大半な先進国)で新しい定住先を見つける「第三国定住」である。

だが現実にはこの持続的解決手法は機能不全に陥っている。UNHCRは発生から5年以上が経過しても持続的解決を得ることができずに避難先での滞在を続けざるを得ない難民のグループを「長期化した難民状態」と定義している。英語では”Protracted Refugee Situations”というが、この”Protracted”という英語には「だらだらと引き伸ばされた」というニュアンスが込められている。UNHCRによると現在世界には32の「長期化した難民状態」があり世界の難民の半分以上がこの状態に属しているのだ。

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