あのDMMがチームラボに全力投資した理由 猪子寿之氏「もはや広告は人々に届かない」

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LEDによって生み出される光の彫刻「Wander through the Crystal Universe」。四方が鏡になっており、無限の世界が広がる(写真提供:チームラボ)

フジテレビ「お台場みんなの夢大陸2016」内で展開されている「DMM.プラネッツArt by teamLab」。約3000㎡という広大な敷地内に巨大な建造物が建てられ、デジタルアートをつなぐ迷路が作られており、「お台場夢大陸」の中でも明らかに異彩を放っている(参考:チームラボ「超巨大アート」は何がスゴいのか)。現在ではどの時間帯でも180分以上待ちの状況で(プライオリティチケットは除く)、最終日の8月31日まで混雑が続くことは必至だろう。

規模を見れば明らかだが、「DMM.プラネッツArt by teamLab」には、これまでの常識の枠を超えた予算が投じられている。動画配信からゲーム、英会話まで手掛けるDMM.comは、なぜ今、体験型デジタルアートのスポンサーになったのか。しかも、今回の作品は常設ではなく47日間限定で、「お台場夢大陸」の終了と共に消え去る運命だ。直近でペイしないことは、誰が見ても分かる。

フィクションは、もはや脳に届かない

チームラボ代表の猪子寿之氏は「日本人は『桜、散る』という言葉が好きだけど、これは日本特有の美意識。海外では『赤いバラ、散る』なんて言われることはない。桜が愛される理由は、散る姿こそが美しいから」と話す。

「来場した人たちも、DMMが頑張ってくれたから今回の体験ができたことを、直感的に理解していると思う。例えば、飲料のプロモーションをする時に、有名人を起用して『飲んだら元気になりました』とか、江戸っぽい家のセットにちょんまげをつけた人が登場するとか、現実に存在しないシチュエーションでCMを作っても、ユーザーの体験とは何の関係もない。かつては、それはクオリティの高い広告だったのかもしれないが、21世紀はユーザーがリアルの世界で本当に喜べる場を作る方が、結果としてスポンサーになる企業も偉大なブランドになるはずだ」

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