さて、矢印に話を戻しましょう。このコラムの読者のみなさんは、矢印をしっかりと活用していただいていると思います。けれども、まだ、矢印の正確な意味を知らない投資家も多いのです。大変残念ですが、ベテラン投資家のなかにも、矢印の意味を、売上げや利益の伸びを示すと信じている方が大勢います。
矢印の意味を知らないのはもったいない
実は、拓殖大学・坂田ゼミナール四季報研究チームでは、数年前に、ある株式投資講演会で、参加している一般の投資家に協力していただき、各種のアンケートをとりました。その際に、四季報の矢印の意味も質問項目にして回答していただきました。
その質問とは、たとえば、「会社四季報を知っているか否か」、「使っているか否か」、などという質問です。
さらに、四季報を使っている投資家のみなさんを限定して、さらに踏み込んで、矢印について質問しました。「四季報の会社名称の横にある矢印を知っているか否か」、「矢印の意味は(記述式での回答)」さらに、「知っている投資家には、活用しているか否か」など、矢印については7項目を調査したのです。分類の結果は、おおまかに3つになります。
(1)矢印の正確な意味を知る投資家
(2)矢印の正確な意味を知らない投資家(矢印を誤って活用している投資家)
(3)矢印さえ知らない投資家
(1)の「矢印の正確な意味を知っている」では、その意味を書いてもらうことで判定できます。「予想との比較」というキーワードがあるかないかで、正誤の判定をしました。やはり、「売上げの変化」「利益の動き」などという誤った回答が予想以上の多さであったので驚きました。投資講演会に参加するという、かなり意欲的な個人投資家であっても、矢印の正確な意味を知らない、または、忘れていたからです。
結局、「会社四季報を使っていても、矢印があることさえ知らない」、「矢印を知っていても使っていない」、「実は、矢印の意味を間違えている」という大変、残念なアンケート結果になったことを鮮明に覚えています。
とりわけ、矢印の意味を誤って理解して矢印を活用しているという(2)のような、投資家のみなさんには、ぜひとも矢印活用法を紹介したいと当時、強く思ったことを思い出します。
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