夏場の筋トレが「痛風」の引き金になるワケ 発症リスク高い「高尿酸血症」を放置しないで

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「プリン体はビールに含まれるため、『プリン体ゼロ』といった商品もあります。しかし、そもそもプリン体はうま味成分として、レバー、シイタケ、かつお節などさまざまな食品に含まれているのです。そのため、アルコールを飲まなくても偏った食事を続けて太り気味の人は、高尿酸血症になりやすいのです。遺伝的な要素を持っていると、やせていても高尿酸血症という人はいます。そういった方が、急にハードな運動をすると痛風発作を起こしやすいのです」

尿酸値は血液検査で簡単に調べられるものの、会社などの健診項目では、必須検査にはなっていない。つまり、健診を受けていても、自分が高尿酸血症か否かわかっていない人が多いのだ。国内の高尿酸値症の人は、約1000万人と推計され、20代~30代の若い人の間で増加傾向にある。

「高尿酸血症と知らずにそのまま放置すると、10年後には糖尿病や高血圧症、さらには脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まります。つまり、若い頃に高尿酸血症の人は、内臓脂肪型肥満に伴うメタボリックシンドロームの予備軍であり、将来、メタボリックシンドロームにつながりやすいのです。高尿酸血症は、それを知らせるシグナルともいえるのです。ご自身が高尿酸血症とわかったならば、食生活への見直しのきっかけにしていただきたい」

お勧めは野菜、水分、そして有酸素運動

メタボのシグナルになる高尿酸血症の予防法を、藤森院長が伝授する。

(1)内臓脂肪をつけないように暴飲暴食は控える。

(2)太り気味の人は、ご飯やめん類などの炭水化物を半分以下に減らして体重を落とす。間食は厳禁。

(3)野菜をたっぷり食べるようにする。たとえば、ランチについているミニサラダの3倍の量を意識する。

(4)夏場は、熱中症予防も兼ねてこまめに水分補給をする。1日2リットル以上が目安。

(5)アルコールは利尿作用があるため、体内の水分を減少させやすく、尿酸値を高める作用があるので飲みすぎないようにする。

(6)適度な運動を心掛ける。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動がお勧め。

(7)ハードな筋トレは、有酸素運動とは異なる筋肉を使うことで尿酸値を高めやすいので避ける。

「太り気味の人は、食生活を見直し体重を落とすだけで高尿酸血症の改善が可能です。また、遺伝的にやせていても高尿酸血症の方は、薬によって尿酸値をコントロールすると、痛風のリスクを下げることができます」

高尿酸血症の薬には、尿酸の排泄力を高めるタイプと、体内での生成を抑制するタイプがある。適切な薬の使用で尿酸値をコントロールできるが、やはり、乱れた食生活の改善は欠かせない。「血液検査などでご自身の状態を把握し、1日の総摂取カロリーを決めて、ご飯などの炭水化物を食べ過ぎないようにしてみてください。また、毎日ご自身で決めた時間に体重計に乗るようにしましょう。体重推移の把握も大切です。10年後のご自身の健康を考えて取り組んでいただきたい」と藤森院長。

急場しのぎではなく、先を見据えた食生活の見直しを心掛けよう!

安達 純子 医療ジャーナリスト

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あだち じゅんこ / Junko Adachi

東京生まれ。医療ジャーナリスト。医学ジャーナリスト協会会員。大手企業のOLから転身。フリーランスの雑誌記者としてさまざまなジャンルの取材を行う中で、病気の発生メカニズムに興味を持ち、医療関係の記事の執筆に比重を置くようになった。現在は、先進医療といった最新の医療状況をはじめ、免疫疾患や感染症などに強い関心を持つ一方で、生活習慣病といった身近な病気を対象とした記事を数多く新聞等で連載中。身体に個人差がある中で、その人にとっての健康とはなにか。病気の仕組みはどこまで解明できるのか。また、未知の病気の正体はどこにあるのかなどをテーマに現在取材を進めている。

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