アフリカで中国語ブームが起きているワケ 結婚して現地に根を張る中国人も

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アディス・アババ大学での中国語の授業の様子。講師も中国人だ ©Kiyori Ueno
今や"人類に残された最後の成長大陸”とも言われるアフリカ。なかでも、サブサハラ(サハラ砂漠以南)には大きな潜在力を持つ国が多い。その代表格がエチオピア。人口9950万人とアフリカ大陸ではナイジェリアに次いで人口が多いエチオピアは、過去10年間連続で約10%の経済成長を達成、2014年の経済成長率は10.3%で世界1位を記録した。
本連載では、そんなエチオピアの素顔を現地から報じてきたが、最後に4回に分けて「存在感が高まる中国」についてリポートする。今回は、その最終回。

 

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中国はアフリカの教育、文化面でも確実に浸透している。その例が、アフリカ諸国のあちこちで設立されている「孔子学院」だ。

同学院は海外の大学などと提携して中国語、中国文化の普及、友好関係の構築を行う中国政府教育部の管轄下の公的機関である。

中国語は英語に次ぐ人気の学科に

エチオピア随一の学府であるアディス・アババ大学が中国語学科を設置し、中国語の学位を出し始めたのは4年前だ。正式に孔子学院が設置されたのは2014年末。「6年ほど前に中国大使館が中国語や文化を教えないかと大学にアプローチしてきた」。昨年末まで同大学の孔子学院の現地部長を務め、今は英語学を教えるタイェ・レガサは話す。

当初は中国語を学ぶ学生は14人だったが、今では中国語学科の学生数は77人に急増、英語に次ぐ人気の学科となっている。「今、この国で新卒ですぐに就職をするのはとても難しい。けれども中国企業が多く進出しているので中国語の卒業生は新卒の就職率は100%だ。それもとても魅力的なお給料がもらえる。私の給料よりも彼らのほうがはるかにいいですよ」とレガサは笑う。さらに、中国(孔子学院)は毎年300万ブル(約1500万円)を用意し、語学教師の給料も機材も、必要なものすべて出してくれるという。

中国の大学への貢献はそれだけではない。優秀だが貧しい学生50人への奨学金、中国語学科を対象にした中国留学の奨学金、中国でのサマー・キャンプ。これらすべて孔子学院がカバーしてくれるのだという。「経済的な支援をしてくれるので、大学にとってのメリットは非常に大きい。経済的支援があるのは中国語学科だけだ」とレガサは話す。

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