尖閣防衛に黄信号?「米軍完全撤退」のリアル

プレストウィッツ氏と小原凡司氏が徹底討論

小原:たしかに、アメリカの安全保障にかかるコストは膨大で、これを見直し、合理化を進めていく必要があることは理解できます。ただ、日本も従来どおり、アメリカに一方的に防衛をしてほしいと言っているわけはありません。アメリカの西太平洋における相対的地位が下がっていくなかで、どう新たな防衛体制を構築すべきかを考えていると思います。

新たな防衛体制において、もっとも重要になるのは、アメリカと同盟国間のネットワークです。従来、アメリカと同盟国間の関係は「ハブ・アンド・スポーク」という関係で呼ばれていましたが、これからは、「エンド・オブ・スポーク」間、つまりはアメリカの同盟国同士の関係を強化していかなければなりません。つまり「エンド・オブ・スポーク」間の関係を密にしていくことで、アメリカの相対的な地位の低下を補っていこうという戦略です。

アメリカはこれからも世界秩序に責任を持つのか

小原:ただ、そのような新たな防衛体制を実現させるためには、「これからもアメリカが世界秩序に対して責任を持つ」「暴力による秩序の変更は許さない」という姿勢、意志を貫く必要があります。

もしアメリカが中途半端な姿勢を見せれば、「エンド・オブ・スポーク」の国々は不安になって、独自の軍備増強に走る国が出てくるかもしれません。これは非常に危険です。世界をますます不安定にしてしまうでしょう。世界秩序に関与できない国でも、「地域秩序」に対して力を行使してくる可能性は十分にあります。

日米関係が世界に与える影響はきわめて大きなものがあります。日米が軍事力の強化を含めて、世界秩序に対して強い責任を持つことを明確にする、そのために安全保障政策も整備しましたということを世界に示すことは、きわめて意義あることだと思います。

プレストウィッツさんがおっしゃっている「日本復活」も、これからは日本単独で成し遂げることは難しいのかもしれません。日米間の強い結束があり、既存の世界秩序の枠組みを維持することが前提となって、「日本復活」は成し遂げられるのではないかと考えます。

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