与党が議席を伸ばした参議院議員選挙の後の7月26日、経済財政諮問会議において、内閣府から「中長期の経済財政に関する試算」(以下、「中長期試算」)が報告された。6月2日に安倍晋三内閣が閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2016」(いわゆる「骨太の方針2016」)に盛り込まれた今後の経済財政政策の運営方針にしたがって、わが国の経済財政の2024年度までの見通しを定量的に示すべく改訂されたのが、この「中長期試算」である。
内閣府の「中長期試算」の位置づけについては、本連載における拙稿「アベノミクスで財政再建は進んでいるのか 国の試算から見える、2020年度財政目標の進捗状況」にて詳述している。
改定された中長期試算の焦点
そもそも、「骨太の方針2016」は、6月1日に安倍首相が通常国会閉会を受けて開いた記者会見で、2017年4月に予定していた消費税率の10%への引き上げを、2019年10月に延期するものの、2020年度の基礎的財政収支黒字化という財政健全化目標を堅持するとした表明を踏まえている。その「骨太の方針2016」を受けて改訂されたのが、7月26日の「中長期試算」である。当然、消費税率の10%への引き上げは2019年10月からとし、2020年度の財政健全化目標が達成できるか否かを見極めるのが、1つの焦点となる。
結論から言うと、今年7月改訂の「中長期試算」では、消費税率の引き上げを2019年10月に延期しても、2020年度の基礎的財政収支は、今年1月改訂の「中長期試算」より1兆円も赤字が減少した、というものである。
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