消費増税の先送りは正しい判断だったのか 2025年以降の社会保障費急増に無策のまま

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G7伊勢志摩サミットでは、「リーマンショック」という言葉を連発して経済危機のリスクと財政、金融政策の必要性を訴えた安倍首相。だが、各国首脳からは異論も(JMPA代表取材)

G7サミットの議長という大任を終えた安倍総理は、2017年4月に予定していた消費税率の10%への引き上げを延期すると表明した。消費税率は2014年に5%から8%に引き上げられ、当初は2015年10月から10%に引き上げられる予定だった。しかし、増税後の落ち込みから経済が回復しなかったことから、2014年11月に安倍総理は10%への税率引き上げを18カ月延期して2017年4月とすることを決断した。この際に、景気が悪化した場合には増税を見送るという条項は削除されていたが、今回の延長で増税の時期はさらに2019年10月まで延期されることになる。

病気の治療に手術が行われる場合に、手術をすれば必ず治るというわけにはいかないだけでなく事故が起きる危険がある。一方で、放置しておけばさらに症状が悪化する危険もある。病院では手術を受ける前に、手術をする場合としない場合のメリットとデメリット、期待される効果や危険性などについて医師から説明があるが、最終的に手術を受けるかどうか決めるのは患者だ。

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消費増税を予定通り実施することにも、延期することにもリスクがあり、こちらを選べば絶対安全だとはいい切れない。どちらのリスクを選択するかは、最終的には国民が、それぞれの選択肢の得失をよく考えて判断することになる。

「延期」ではなく「凍結」にしても意味はない

消費税率を8%から10%にする場合に、消費税率引き上げ前後で消費にどのような影響があるかを見てみよう。

これまでの経験からすると、増税の少し前から消費税率が引き上げられる前に商品やサービスを購入しようという駆け込み需要が発生し、増税後は前倒しで購入されてしまった分だけ反動で消費が落ち込む。

また、増税によって実質所得が低下することによる消費の減少もおこる。増税前には税抜き100円の商品は108円で購入できるが、増税後は110円支払わなくては購入できない。何か買うごとに増税分の差額が積み重なって、今までと同じ予算では増税前に購入できただけの商品を購入できなくなるからだ。

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