ネットサービス「日本不発で中国成功」のわけ

ネット先進国の根底にある強いスピリット

中国は消費市場が発展途上であり、地域格差も激しいので、共通したビジネスルールや認識がまだ成熟していない。特にオンライン取引について、買い手から見ると、相手の顔さえわからないし、だまされたらクレームするところもない可能性がある。

また、クレジットカードやデビットカードの盗用や個人情報の流出のケースも少なくないため、できるだけオンライン取引で自分のカードを使いたくない。一方、売り手から見ると、商品が届いても「届いていない」とか「壊れていた」と称し、支払い拒否をする消費者がいないとも限らない。

エスクローサービスは、一言でいうと売買双方の口座の間に「仲介口座」を置くサービスであり、売買双方の不信感というギャップを埋めるものだ。アリペイを例にすると、買い手は、取引金額だけをアリペイ口座に振り込む。商品に不備や破損があった場合、アリペイに連絡すれば支払いを止めることができる。売り手も、悪意のある支払拒否に対してアリペイに調査してもらうことができる。

日本は全国で一つの「圏子」のようなもの

実店舗でも広がっているエスクロ―サービス(筆者撮影)

このサービスは、決済に対する売買双方の不安を解消してくれるため、あっという間に全国に広まった。現在、エスクローサービスはオンラインだけでなく、中国・日本の実店舗まで広く展開されている。店頭でスマホに表示されたQRコードをスキャンしてもらえば、1秒で支払いが完了し、利用明細もすぐ届くので、現金を持たずに日常的な買い物ができる時代になった。

一方、日本の場合、市場経済が成熟期にすでに入っており、島国でもあるため、取引に対する共通認識がある。そして、セキュリティ等の管理も厳しいので、クレジットカード決済を利用することに不安が少ない。つまり、日本人は、全国は一つの「圏子」と考えているため、このようなサービスに対するニーズが少なかったのだろう。

北京や上海などの中国の都市での道路渋滞問題はよく知られているが、タクシーを拾うことも難題である。中国最先進都市の上海は、人口一万人当たりのタクシー保有数が21台(eastday、2015年7月時点)であるのに対し、東京はその1.8倍の37台(東京はイヤー・タクシー協会、東京都HP、2014年時点)である。地下鉄等の公共交通が改善されてきているが、人々の移動ニーズを満足できていない。

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