ネットサービス「日本不発で中国成功」のわけ

ネット先進国の根底にある強いスピリット

日本企業のイメージには、「安定」「保守的」「イノベーションが必要」「改革が迫まられている」などがある。それは、日本社会が成熟化し、社会資源の分配や社会インフラの整備がかなりの水準まで整えられたからといえる。つまり、今まで通りにすれば、人々は不満を感じないのだ。

逆に、仮に新しいネットビジネスを起こそうとしたら、まず既存事業に影響があるかを検討する必要があり、そして3年間で黒字転換できるかの採算性を検討しなくてはならない。それがさらに海外事業の場合、稟議や本社判断で非常に時間と手間がかかる。したがって、新しいことにチャレンジするより、今まで通りのやり方を踏襲してしまいがちである。苦労なく簡単に進めるし、「失敗しない」こともある程度保証されているからだ。

一方、中国はまったく違う市場だ。上述した不信感や社会インフラの不備から、中国では、日本のような安定した環境がない。そして、今の中国では、出勤から余暇まで、あらゆる行動はスマホ一本で済ませられる時代になったため、インターネットビジネスは刻一刻と発展を遂げている。

瞬息万変の中国市場に対応するには

つまり、企業は「失敗する」リスクを負いながら、速やかに判断・改善しないと、すぐに淘汰される。今までと同じやり方では失敗同然になる。一方、この不安定・不備な状況だからこそ、ビジネスチャンスや新市場が生まれる。企業にとっては、いかに新しい消費者を捉えるのかが肝心だ。多少赤字が続いても、コアなファンを集められるのであれば、投資ファンドに興味を持たれ、投資してもらえる。そのおカネで本体サービスを軸にチャレンジもできるし、新たなビジネスも開発できると考えられる。

中国のビジネスは、ルールもはっきりしていないし、「朝令暮改」が多い。中国企業はすぐに結論を求めるから、「アニマルスピリット(野心的な意欲)」が強くて怖いと思う日本企業が多いかもしれない。しかし、これは、瞬息万変の中国市場に対応するには必要な精神である。

インターネットビジネスの成功には、これまで述べた理由だけでなく、無論、政府の支援も不可欠である。中国は昨年「インターネット+」という新しい行動計画を掲げ、モバイルやビッグデータ、IoT(モノのインターネット)などを駆使し、経済成長を促進しようと宣言し、あらゆる産業をインターネットで革新することを支援している。

日本企業は、中国ビジネスを検討する際、多かれ少なかれインターネットビジネスと関連させざるをえない。上述した中国と日本のビジネス環境の根本的な違いを理解した上で、圏子を利用した情報拡散、スマホ社会への適合、スピーディーな意思決定、現場裁量の拡大など、現地に適応した戦略を考えるべきなのではないだろうか。

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