激安”お手伝い移民”が、日本の奥様を救う

シンガポール・香港にあって、東京にないもの

読者の皆さんはきっと、自宅の居間に“違う国のおばさんがいる”のは落ち着かないのではないか、と懸念されているに違いない。しかし意外なことに慣れるとまったく気にならず、4000香港ドルで何でもかんでもやってもらえる生活が当たり前になってしまうと、もう本国には帰れなくなる――少なくともあなたの奥さんは。

あなたの奥さんは、朝起きて口うるさい姑の朝ごはんの支度をしなくてよければ、腕白盛りの小学2年生のお弁当の支度をする必要もない。バスで30分かかる私立の小学校まで通勤前にドライブして見送っていくことなく、産休明けに血眼になって託児所を探す必要もないのである。しかめっ面の上司の顔色を見ながら、5時に帰ってきて買い物と食事の準備をしなくてよいし、食器洗いや洗濯も当然あなたの仕事ではない。泣きわめく6歳のの里奈をお風呂に入れる必要もなければ、夜泣きする2歳の赤ん坊を寝かしつける必要もないのである。

お手伝いさん生活に慣れることのリスク

いいことづくめに聞こえるナニーの導入だが、このコラムを書きながらシンガポール人の友人に聞いてみたら、どうやらいいことづくめでもないらしい。彼女いわく、お手伝いさんが当たり前という環境のダウンサイドリスクは、ともすれば“人間が怠けてしまうこと”だという。

たとえば、最近のシンガポールの若者は子供の時から社会に出るまで、食事の準備、片付け、部屋の掃除、洗濯などをすべてやってもらってきたため、“身の回りの面倒は他人がみてくれる”という感覚が身についてしまっているという。

社会に出てもずっと甘やかされてきた習慣が残っているエリート大卒のアナリストに対し、経営陣が「ここは君たちの家ではない。デスクの上を掃除し、食べたものはデスクから掃除して家にかえりなさい」という小学生向け並みの情けない内容のメールを全社オールで何回も送る必要があったとのことである。

この“何でもやってもらって当たり前”というのは、香港やシンガポールの男性が彼女にたいへん尽くすことにも影響しているのかもしれない。これは、私が好みの女性に多少親切にしたところでは、「ありがとう」と言ってもらえないことにも、少なからず影響しているのだろう。

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