希望者殺到、ラッシュ工場見学がスゴすぎる 人気ツアーの裏にある"ラッシュの再生物語"
徹底的に作り込まれた世界観と、「新鮮な材料と手作り」を全面に押し出したラッシュの工場見学。全行程で5時間を超える、至れり尽くせりのツアーを無料で開催する意図はどこにあるのか。きっかけとなったのは、2012年にラッシュの日本法人が初めて経験した挫折だった。
挫折から始まった「キッチンツアー」
ラッシュは1995年、イギリス南西部の海沿いの街で誕生した。1999年にはラッシュジャパンが設立され、日本市場にも参入。当時は日本でも「ボディショップ」が若い世代にブームとなり、自然派化粧品の市場が醸成されている最中だった。
ブームに乗ったラッシュは、1号店の「自由が丘」(目黒区)を皮切りに、路面店やショッピングモールへと出店を進め、右肩上がりに成長。全世界で1100億円超を売り上げるラッシュだが、北米、欧州に次ぐ3番手の市場として、日本は100億円台半ばの規模まで拡大した。
だが、風向きは徐々に変わっていった。自然派化粧品の「ロクシタン」や「キールズ」といった競合ブランドが続々と日本に参入。その一方で、単価の安いカラフルな入浴剤や石鹸を中心に愛用していた若年女性が、ある年齢を過ぎるとラッシュを”卒業”してしまい、単価の高いスキンケア商品などへの移行が上手くいかないという課題にも直面していた。
それまで右肩上がりで成長していたラッシュジャパンはついに店舗数が頭打ちとなり、2012年には初めて売上高が初めて前年を下回った。
同社取締役の小林弥生氏役は「当時、社内は一種のパニック状態にあった。何に注力すれば良いのかわからず。ポイントサービスを強化したり、おまけを付けるなどのサービスを行い、結果としてブランドを毀損してしまった」と振り返る。
ラッシュジャパンが抜本的な改革に踏み切ったのは2013年のこと。外部人材を招いて経営幹部などを刷新、競合の多い自然派化粧品市場のなかで、ブランドの原点である「Fresh Handmade Cosmetics」(新鮮な材料を使った手作り化粧品)に回帰することを決めた。
それに伴い、店舗や商品も大胆に刷新した。従来の黄色と黄緑のポップな色合いのロゴを、白と黒のシンプルなデザインに変更。店内の雰囲気も、商品が積み上がった雑多なものから、古い木材を用いた落ち着いた雰囲気へと改装した。じっくりと肌悩みを相談できるカウンセリングスペースや、せっけんや入浴剤を試すためのシンクも作った。
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