学習塾、少子化でも最高益ラッシュのなぜ 静かに進む優勝劣敗

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学究社の強みは、東京都下で屈指の塾激戦区である国立市を中心にドミナント展開し、多摩地区では都立上位中学校の合格シェアで5割を握るなど圧倒的な合格実績だ。08年に最大のライバルだった進学舎を買収したことで一段と飛躍。来年度からは授業料を値下げし、東京東部へ戦線拡大するなど野心的だ。

同じく神奈川県で過去最高益をたたき出しているのが東証1部上場のステップだ。県中西部を地盤に約120教室を展開。県外に進出する予定はなく、徹底したドミナント展開を貫いている。神奈川県は13年春から推薦入試を廃止し、一般入試を全受験生に義務付ける方針に転換。加えて、記述式問題の比重を増やしたことで学習塾への関心が一段と高まっている。

全国区ブランドでなくとも存在感

個別指導が追い風にある中、学究社、ステップともに集団指導で実績を上げていることが特徴だ。全国区のブランドではなくても、地元密着での信頼度の高い受験指導がまさに強みとなっている。

文部科学省の調査によると、学習塾への出費は中学生で18万円程度と過去10年で減っていない。一方、帝国データバンクによると、収入高上位20社が主要110社の収入高合計の半分以上を占めるなど寡占化が顕著だ。少子化、不景気に加え、大学全入時代による学習塾離れなどに伴い、大半の小規模業者は厳しい状況にあり、倒産件数は毎年20~30社と高止まりしている。今後はますます優勝劣敗が進むことになるだろう。

(撮影:尾形 文繁、今井 康一)     

*記事中の写真はイメージです

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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