よく、「顧客志向」といわれますが、日東電工は「顧客密着」が合言葉です。志向するだけではなく、密着する必要がある。営業は「買ってください」とプッシュするだけではなく、お客さんの課題を探してきて、そこに自分たちの提供できる素材は何かを考えるのです。「これがほしい」とお客さんに言ってもらうのを待っていたらダメだという発想なんですよね。
僕は、お客さんの「不」を解消すれば商売になるという考え方をもっています。日東電工は、お客さんの不を見つけ、引っ張り上げる力が強いなと思っています。
常見:まさに「ソリューション営業」ですね。従来のソリューション営業は、比較的融通のきくような広告やICTの企業が採用していた方法です。日東電工は、自分たちが持っている技術に結び付けたソリューション営業なんですね。それは面白い。
技術革新により、営業の仕方が変わってきている
石川:商品説明の前の雑談が長いことをもって、「ソリューション営業」というようなケースってけっこう多い中、日東電工がやっているのは本物だという感じがします。さて、北澤さんはどの会社をあげますか?
北澤 孝太郎(以下、北澤):前提として、この10年で「営業力のある会社」はかなり変わってきています。それはなぜか。技術革新により、営業の仕方が変わってきているんです。
たとえば、営業支援アプリケーションを提供しているセールス・フォースのサービスをつかうと、システマティックに顧客管理することができます。クラウド名刺管理サービスのSansanを使うと、過去の名刺データを連動させながら、「こういう人と連絡を取りたい」と思ったらリストがパッと出てくるようになっています。
このような、システマティックな営業方法を、賢い若い人たちが駆使し始めました。いままで、年の功でなんとなくやってきたことが、使いこなしている若手に簡単に負けてしまうくらいなのです。革新的なシステムです。
石川:セールス・フォースの提供しているアプリの仕組みを聞いたときに、昔からリクルートでやっている「ヨミ表(顧客毎の受注金額見込みや受注確度をまとめた表)」と同じだと思いました。当時、僕らなりのノウハウだったのが、全国でシステマティックに使われていると。今まではその会社で伝わっていた秘伝のような方法が、より手軽に正確に提供されるようになったので、プラスアルファで何をするのかその工夫が求められているんでしょうね。
北澤:おっしゃるとおりです。「情報は自分で消化してはじめて知識になる」と僕は本に書きました。まさに、新しい技術を、自分で消化して知識にしている若者が増えたと感じています。これは脅威です。
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