ポケモンGOが切り開く「スマホ課金」の新境地 一部ユーザーには依存しない「みんなのため」

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例えば、息子と一緒にプレイしている父親が息子に喜んでもらうためにアイテムを購入する、もしくは友達同士やカップルでお互いで交互に購入する、というようなことがありえるわけです。また一部には、自分がルアーモジュールを使ったことによって知らない人たちが集まってくること自体に少し達成感を感じる人も出ている模様。

当然、自分のための課金でもありますが、「誰かのため」「みんなのため」と言い訳できる新しい課金の形ということができるでしょう。

例えば私自身、ポケモンGOがリリースされた夜の飲み会で早速ルアーモジュールを試した人間ですが、その結果飲み会の場で一緒にポケモンGOを遊んだ人に「感謝される」という現象が発生しました。

もちろん、その時は私自身のためにアイテムを使ってみたわけですが、その行為自体が周りにいるプレイヤーにも恩恵をもたらすため、結果的に電池切れが近かった私は友人に御礼にモバイルバッテリーを借りて充電をさせてもらうことができました。ある意味ポケモンGOのアイテムを通じて、私は物々交換をさせてもらったことになります。

コアユーザーでなくても課金する可能性がある

さらにこの課金をするのは、必ずしもポケモンGOのコアユーザーではなくても良いというのも面白い点です。マクドナルドのポケモンGOコラボが大きな話題になったように、飲食店の店長やカフェのオーナーが、お店の集客のためにルアーモジュールを近所のポケストップに設置することで、そこで発生するポケモンを目当てにプレイヤーが集まってきてくれることを期待する、という形での課金もありえるわけです。

通常のソーシャルゲームでは、一説に課金率は数%でしかないと言われています。無料でゲームを楽しんでいる大勢のユーザーの中のごく一部が射幸性の強い課金システムに大量の課金をすることで、そのゲームの収益が維持されている仕組みです。

今回、そのソーシャルゲームの課金のトレンドに対して、ポケモンGOは、ルアーモジュールという、自分のためだけではない「みんなのため課金」とでも呼べる、文字通り「薄く広く課金する」新しいモデルの提案をしているといえます。

ポケモンGO狂騒曲がいつまで続くかは別として、この新しい「みんなのため課金」の仕組みは、今後スマホアプリやネットコンテンツを提供している多くの事業者にとってもお手本となりえそうです。

徳力 基彦 noteプロデューサー、ブロガー

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とくりき もとひこ / Motohiko Tokuriki

NTTやIT系コンサルティングファーム等を経て、アジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。代表取締役社長や取締役CMOを歴任し、現在はアンバサダープログラムのアンバサダーとして、ソーシャルメディアの企業活用についての啓発活動を担当。note株式会社では、noteプロデューサーとして、ビジネスパーソンや企業におけるブログやソーシャルメディアの活用についてのサポートを行っている。
個人でも、日経MJやYahooニュース!個人のコラム連載等、幅広い活動を行っており、著書に「顧客視点の企業戦略」、「アルファブロガー」等がある。

 

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