最新!金融・未上場版「CSR企業ランキング」 金融1位は2年連続で損保J日興が奪取

✎ 1〜 ✎ 45 ✎ 46 ✎ 47 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

1位は5年連続の富士ゼロックスで総合得点は285.7点。人材活用94.9点(同12位)、環境94.4点(同20位)、企業統治+社会性96.4点(同13位)だった。

親会社の富士フイルムホールディングスの主要子会社で総合ランキングも対象で2位。CSR先進企業として知られる。

「CSRは経営そのもの」富士ゼロックスの信念

「CSRは経営そのもの」という信念のもと「事業とCSRの統合」を進める。専務執行役員が議長を務めるCSR会議で定期的にリスク対応について議論し、必要な意思決定を行うといった先進的な体制を整備。CSRをトップダウンで推進している。

サプライチェーンでの関係も重視し、取引先と自社でCSR調達の理念や目的を共有するための説明会やトップセミナーを開催。各自で自主的にCSR活動を取り組めるようマネジメント・ガイドラインやセルフチェックリストも作成している。さらに専門チームが取引先を訪問し改善活動支援を行うなどサプライチェーン全体でのCSR向上に力を入れる。

他にも社員が業務スキル等を活用し、NGOのメンバーや運営ボランティアとして参加する「プロボノ」活動やアジア新興国での児童教育格差是正の支援を目的とした「教材提供プロジェクト」をフィリピン、ミャンマー、タイで実施する「BOPビジネス」といった幅広い活動を行っている。

女性管理職比率6.2%、女性部長比率6.3%と女性活用も製造業では他社を一歩リード。新卒採用で外国人は全体の10%、障害者は同2%を採用するなどダイバーシティでも先進企業だ。

2位はサントリーホールディングスの275.2点。人材活用89.9点(同44位)、環境94.4点(同20位)、企業統治+社会性90.9点(同85位)だった。

マテリアリティは、「『水のサステナビリティ』と環境負荷低減による自然との共生の実現」「『利益三分主義』に基づく生活文化の豊かな発展と次世代育成への貢献」「『やってみなはれ』を発揮できる人材育成とダイバーシティ推進」など個性的な内容が並ぶ。

最も評価の高い環境分野では水を多く使う企業としての幅広い取り組みが目立つ。2003年から工場の水源涵養エリアを中心に「サントリー天然水の森」を設定。多種多様な動植物の生息する豊かな森づくりを進めている。さらに水の大切さを伝える次世代環境教育プログラム「水育」(みずいく)で「森と水の学校」「出張授業」を柱に展開する。

ベトナムでも「水育」を海外で初めて実施し、事業活動に大きく影響する「水」に関する社会課題解決をグローバルで推進している。

他に海外では買収したビームサントリー(北米)工場周辺での自然保護活動の推進、シャトーラグランジュ(欧州)における自然にやさしい農法「リユット・リゾネ」を用いたワインづくりも行う。

女性管理職比率は9.3%と10%に近づくなど女性活用に対する評価は以前から高い。65歳までの完全雇用など多様な人材が活躍できる環境も整備されている。

3位はトヨタ車体。総合得点は269.1点。人材活用81.0点(同177位)、環境97.2点(同7位)、企業統治+社会性90.9点(同85位)だった。

環境マネジメントシステムとして活用するISO14001を北米とインドネシアの子会社が取得し、海外の連結生産子会社で100%取得を達成。国内・海外ともISO14001の取得割合100%になるなど環境取り組みが高評価となった。

4位は日立システムズで257.3点。人材活用82.3点(同159位)、環境85.9点(同130位)、企業統治+社会性89.1点(117位)とバランスよく得点した。

内部監査部門の設置や社長をトップとしたBCM(事業継続管理)体制の構築など充実したガバナンスの仕組み。小学校でのPC分解等のIT体験教室の実施、東日本大震災復興支援として、自社の技術を活用した「疲労・ストレス測定システム」の開発といった社会活動などで企業統治+社会性が高得点だった。

5位はNECソリューションイノベータ(242.5点)、6位は日本IBM(241.0点)。人材活用87.3点、環境90.1点の高さで外資系トップとなった。ほか7位サノフィ(231.0点)、8位アジレント・テクノロジー(224.1点)と外資3社が並ぶ。

障害者雇用に積極的な企業が着実にランクアップ

未上場とはいえ大企業が多いなか、ITサービス・人材派遣などを展開するアイエスエフネット(209.9点)が9位でトップ10入り。2年前17位、昨年12位と着実に順位を上げてきた。

同社は障害者雇用に積極的な企業として知られる。障害者雇用率は14.55%とトップクラスで、人材活用は91.1点(同34位)と高得点。女性障害者の活躍の場として、福島で「匠カフェ」というカフェ形態での展開を進める。さらに、「川崎市の生活保護受給者100人の雇用創出」といった地域社会で自社の事業を生かす取り組みも実施している。

ここ数年、「CSV(共通価値の創造)」や国連が提唱する2030年までに解決すべき「SDGs(持続可能な開発目標)」の登場で「企業の力で社会課題を解決する」という動きが鮮明になってきている。あわせて各社の将来の機会やリスクの把握として上場企業中心に環境やワーク・ライフ・バランス、ガバナンスといった非財務情報の開示が求められるようになった。

もちろん情報を開示するだけでなく、日本全体や他社の動きも参考に自社の従業員の活用、ガバナンス、環境面の取り組みなどに生かし、さらにレベルアップしていく必要があることは言うまでもない。こうした常に改善を続けられる企業が評価される時代になってきている。

しかし、依然、寄付活動といった社会貢献活動には熱心だが、社内の情報はほとんど開示しない企業も多い。

CSR活動は企業が社会と共存するために欠かせないさまざまな活動で、社会貢献はその1つに過ぎない。また、自社にとってあまり公開したくない内容も含めて社内でしっかりまとめて開示していく姿勢こそ長く生き残る「信頼される会社」となるために必要だ。

この点を理解しないと企業の持続可能性は高まらないことは認識したほうがよいだろう。

今回のランキング上位は金融・未上場での先進企業。特に上場企業の金融機関はESG先進企業としてGPIFが採用する株価指数の構成銘柄に組み入れられる可能性も高そうだ。

岸本 吉浩 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

きしもと よしひろ / Yoshihiro Kishimoto

1996年東洋経済新報社入社。以来各種企業調査にかかわる。『CSR企業総覧』編集長として、CSR調査、各種企業評価を長年担当。著書に『指標とランキングでわかる! 本当のホワイト企業の見つけ方』など。2023年4月から編集局記者、編集委員、『本当に強い大学』2023年版編集長。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事