幅広いステークホルダーから「信頼される会社」をCSR(企業の社会的責任)と財務の両面から見つける「東洋経済CSR企業ランキング」。10回目となる今回はCSR130項目、財務15項目で総合評価を行った(ポイント算出方法など、ランキングについての解説はこちら)。対象は『CSR企業総覧』2016年版掲載の1325社だ。
トップは2年連続で3回目となる富士フイルムホールティングス(総合得点573.6点)だった。富士フイルムは2012年1位、2013年2位、2014年2位、2015年1位と常に上位を維持。トップ3回は2011年、2013年1位のトヨタ自動車を抜き過去最多となった。
部門別では、企業統治+社会性が98.8点で2位と上位。「オープン・フェア・クリア」の精神で、目先の利益よりもコンプラインアスの優先を徹底する。CSR委員会の委員長は代表取締役社長・COOが務め、トップダウンでコンプライアンスなど幅広いCSR活動を推進している。
風通しの良い職場づくりに取り組む
社内向けには全社員に行動規範を理解するためのツールとしてガイドブックを配付。コンプライアンス役職者研修、職場説明会を実施し社員全体の意識を高めている。さらに社内・社外に内部通報窓口を設置し問題が小さなうちに解決できる体制を整備。2014年度で135件あった通報には相談レベルのものも少なくないが、通報者の権利保護を徹底しながら風通しのよい職場を目指し、手間暇かけて取り組んでいる。
ほかにも低価格で小型のデジタルX線診断装置を開発し、新興国の中小クリニックに販売するBOP(ベース・オブ・ピラミッド)ビジネスへの挑戦など幅広い取り組みを行っている。
人材活用も96.2点で部門別で10位入り。10:30~15:10がコアタイムのフレックスタイム制度や小学校3年生までの子育て社員が利用できる短時間勤務制度などワーク・ライフ・バランス実現への各種制度は充実している。勤怠情報を基にした休業者抑制のためのチェックリスト作りなどメンタルヘルス対策にも積極的だ。2012年度には86人だった1カ月以上の休職者は2014年度に66人まで減少するなど成果が表れつつある。
環境も94.4点(20位)と高い。気候変動対応の取り組みとして再生可能エネルギーを積極的に導入。国内外の主要工場・事務所にはソーラーパネルを設置し太陽光発電利用を推進する。オランダ工場では敷地内に風力発電設備を設置するなどCO2排出量の削減に力を入れている。
財務の284.2点(7位)も上位でバランスよく得点し、総合力で他社を上回った。
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