1位は昨年に引き続き損保ジャパン日本興亜ホールディングス(総合ポイント285.0点)となった。人材活用97.5点(全体5位)、環境93.0点(同34位)、企業統治+社会性94.5点(同32位)といずれも高得点だった。
同社は活動のマテリアリティ(重要性)に「安心・安全・健康に資する商品・サービスの提供」「地球環境問題への対応」「金融機能を生かした社会的課題の解決」「透明性の高い情報開示」などを掲げ、本業と関係ある活動に力を入れている。
たとえば、気候変動による自然災害増加は支払い保険金の増加を引き起こすため、率先して環境負荷削減に取り組んでいる。全国6カ所の自治体と協力し森林整備活動や環境教育の展開など幅広く実践している。大学への寄付講座として行う保険実務講座へはグループ社員を講師として派遣。市民向けの環境講座の開催をはじめ社会とのつながりも深い。
海外ではインドの現地法人で銀行が提供するマイクロファイナンスの活用を促進する農村・貧困層向けのマイクロインシュアランス(小規模保険サービス)を2008年より開始。インド国営銀行、NGOと提携し、農村地域の貧困改善と自立支援に向けて取り組んでいる。
働きやすさでも他社をリード
妊娠・育児・介護を目的とした短時間勤務制度、全部門で制度化されている在宅勤務制度、半日単位の有給休暇制度、ワークシェアリングといった各種制度も充実。働きやすさの面でも他社をリードする。
全体の女性比率は52.4%と高く、ダイバーシティ推進では、女性活躍を大きな柱の一つに掲げる。
全国4カ所で開催する産休・育休者フォーラムでは、本人だけでなく上司・同僚も参加。2014年度508人、2013年度569人、2012年度523人と毎年500人以上が育児休業を取得する同社は上司・管理者への指導とあわせて、こうしたイベントで職場復帰への相互理解を図っている。
管理職の女性登用も進展中。女性管理職比率は8.1%と昨年の4.1%からほぼ倍増となった。「2020年度末には女性管理職比率30%」という高い目標を掲げ、女性従業員向けに各層への研修、管理職層全員へのメンター制度を導入。海外グループ会社の女性CEOを招き、グローバルダイバーシティミーティングを開催するなどさらに上のレベルを目指し、女性の意識改革を進める。
2位は同じく損保2強の東京海上ホールディングス(280.0点)。人材活用97.5点(同5位)、環境87.3点(同112位)、企業統治+社会性95.2点(同24位)と環境以外は100位内となっている。
1位損保ジャパン日本興亜HDに対して環境得点が下回り2位になったが、女性管理職比率5.5%、女性部長比率2.8%、育児休業復職率97.8%は高く、人材活用は全体5位と高評価だ。
社会課題の解決にも幅広く取り組んでいる。2004年から農業国インドにおける農業従事者へのインデックス型天候保険の販売を開始し、BOPビジネスという言葉が一般化する前から展開してきた。NGOとの連携にも積極的で東南アジアなど9カ国でのマングローブ植林プロジェクトでの協働を進めている。
日本生命が昨年5位→3位へ上昇
3位は昨年5位から上昇した日本生命保険(279.0点)。人材活用93.7点(同18位)、環境90.1点(同69位)、企業統治+社会性95.2点(同24位)で生保トップとなった。
2013年、2014年と2年連続で男性職員の育児休業取得100%を達成。社外委員を含む「コンプライアンス委員会」の設置をはじめ未上場だが日本を代表する生命保険会社として高いレベルの企業統治の仕組みを作っている。
さらに環境マネジメントシステムであるISO14001を国内で100%取得するなど、環境への取り組みも積極的だ。
4位は昨年3位だった第一生命保険(276.6点)。人材活用100点(同1位)、環境84.5点(同164位)、企業統治+社会性92.1点(同62位)と人材活用の評価が高い。
女性が全体の90.7%と多い職場で、最長25カ月の育休、短時間勤務、在宅勤務などのワーク・ライフ・バランス関連の制度は整う。女性管理職比率23.3%、同部長比率5.5%といった各種比率も高く、人材活用は全体1位。環境担当の執行役員の存在や環境会計作成などで環境得点も高水準だ。
5位は証券トップの野村ホールディングス(270.0点)。人材活用91.1点(同34位)、環境83.1点(同186位)、企業統治+社会性95.8点(同16位)と企業統治+社会性の評価が高かった。
以下、6位MS&ADインシュアランスグループホールディングス(268.1点)、7位にその他金融トップのリコーリース(265.2点)が続く。銀行は8位みずほフィナンシャルグループ(263.5点)、地銀は24位滋賀銀行(225.0点)がトップだった。
金融機関は環境得点で差がつく場合が多い。大量に使用する紙を減らす取り組みや環境問題への融資など金融機関ならではの活動もあり、これらを回答するだけでも一定の得点は得られる。点数が低いケースは社内の情報収集が不十分だったり、回答できるのにしていなかったりする場合もある。ぜひ上位企業の取り組みを参考にしていただきたい。
続いて、未上場企業の上位20社を紹介する。
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