デフレ脱却に成功して金利が上昇する際には、預貯金金利の上昇で資金の調達コストが上昇する一方で、資金の運用利回りの上昇速度が遅く、金融機関の収益は圧迫されている可能性が高い。準備預金制度に基づく所要準備には金利が付かないので、準備率を引き上げることは銀行からより多くの手数料を徴収するようなものだ。このため経営の悪化を招くなど金融システムを不安定化させてしまう恐れが大きい。現実には大幅な準備率の引き上げは難しいだろう。無理に準備率を引き上げれば、金融システムの安定化のために多額の税金を投入する必要性が発生するかもしれない。
ヘリコプターマネー政策を貫いて発行した国債を償還せずに日銀が国債を永久に保有し続ければ、かなりの高インフレを許容することになってしまう。一方、日銀がインフレを抑制しようとすれば保有している国債を売却せざるを得ず、結局、この分の国債は政府が元本を返済しなくて済むヘリコプターマネーではなくなってしまう。
ヘリコプターマネーによって、誰も費用を負担することなしに政府が資金を手にすることができるといううまい話はないはずなのだ。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら