ヘリコプターマネーは、どう考えても危ない 高インフレが発生して制御できない

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デフレが続いていれば現金の価値は減らないので、今以上に多くの現金が保有し続けられることはありうる。しかし、デフレから脱却すれば物価上昇のために現金の価値は下がる。たとえば1万円で買える商品の量は減少していく。人々はタンス預金をやめて、商品や不動産などの実物に置き換えようとするだろう。少なくとも、金利や配当が付く金融資産に置き換えようとして、現金の保有は減少するはずだ。

デフレ脱却ができた後の経済では、これまでに供給してきた現金分だけでも十二分なはずだ。だから、物価上昇率を高めるためにこれからヘリコプターマネーで新たに現金をばらまくということは、一度大きく現金残高を増やした後で、デフレ脱却後には大量の現金が不要になるので、大幅に残高を削減するということを前提にしていることになる。

ヘリマネでデフレ脱却後の物価はどうなる

今後電子マネーの普及やインターネットバンキングでの決済がさらに広がり、買い物に現金を使用することは減っていく可能性が高い。デフレ脱却後の経済活動に最適な現金残高の名目GDPに対する比率は昔よりも低くなるはずだが、影響を小さめにみて1990年代末の10%の水準にまでしか低下しないと仮定しよう。

名目GDPを600兆円にするという目標が達成できたとして、現金は名目GDPの10%に相当する60兆円程度であれば経済はバランスよく動くと考えられる。このためには日銀が保有している国債を40兆円売って現金を吸収することになるが、売却した国債を購入するのは民間金融機関や個人、海外の投資家であり、政府は期限が来れば元本分を支払って償還する必要が生ずる。これでは、ヘリコプターマネーではなくなってしまう。

そこで、日銀が国債を保有し続けて現金残高は今と同じ100兆円が続くと仮定した場合、名目GDPに対する現金の保有比率が10%に低下するには、名目GDPは1000兆円になっていなくてはならない。

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