日本は「ヘリコプターマネー」の実験場に? 米国は原爆のように世紀の大実験をするのか
Brexit(英国のEU離脱)以後、株式市場は選挙や国民投票といった「バイナリーイベント」(二者択一)に対して、益々過剰な反応になっている。運用側の立場から見れば、債券利回りは低すぎ(1100兆円相当がいまやマイナス金利)だ。株も安値からの戻りはあっても、持続的な上昇はない。だからこそイベントで稼ぎたい市場心理が表れている。
71年前にも日本であった「世紀の大実験」とは
そして日本の参議院選挙後、タイミングを図ったようにバーナンキ前FRB(米連邦準備制度理事会)議長が来日。市場では「ヘリコプターマネー」への期待感も膨らんでいる。
すでに安倍政権では、重要な経済政策の発表にあたっては、ノーベル経済学者を招いたという「過去」がある。G7の重要メンバーでGDP3位の国の行動としては、本来奇異だが、日本が何をしたいのかのメッセージは判りやすい。ただヘリコプターマネーはこれまでとは次元の違う話。世の中を変えてしまう効果と危険が共存している。本当に日本でやるとしたら、「世紀の大実験」の舞台は再び日本ということになる。
実は、日本での世紀の大実験は71年前にもあったとは言えないだろうか。こんなやりとりも残っている。日本との戦争が終わり、米国のトルーマン大統領はマンハッタン計画(原爆開発)のリーダーであるオッペンハイマーをホワイトハウスに招いた。
原爆投下成功の労をねぎらうためだった。ところが、オッペンハイマーは、「なぜ原爆を人間に対して実際に使ったのか」と大統領に食ってかかった。オッペンハイマーは、米国が世界に先駆けて原爆開発に成功すれば、その事実だけでソ連との争いで優位に立つ。結果、戦争そのもののリスクは軽減されるという理想を持っていたのだ。トルーマンは、彼の態度に激怒。「二度とあいつをオレの前に出すな」と命令したとされる。(参考文献:Truman and the "Cry-Baby Scientist": Oppenheimer in the Oval Office, October 1945→英語のサイトにジャンプします)
あの有名なアインシュタインも、原爆が使われた後は自分の世界に戻った。だが、原爆開発に関わった20世紀の天才科学者で、戦後も米国政治に関わった人物がいる。それは誰か。
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