次の「円安ドル高」は意外な形でやって来る 「ヘリコプターマネー」期待で進む円安
参議院選挙は与党の圧勝に終わり、11日の日本株は大幅に上昇したが、時計の針をもう少し戻して、8日の金曜日から振り返って見よう。6月の米雇用統計は、非常に悪かった5月の数字(非農業部門雇用者数3.8万人)の後だけに注目されたが、結果的に予想(18万人)を大きく上回る28.7万人の雇用増と市場を安堵させた。細かいポイントを見ても、特に懸念する内容は見当たらず、米経済については今後の数字を見守ることになりそうだ。
マネーの流れが明らかに変わってきた
米国株はポジティブに反応し、8日の米ダウは250ドル高の1万8146ドルと、2015年5月19日の最高値にあと一歩と迫った。しかし、株価はリスクオン的に反応しているのだが、金利はさっぱり上がらない。現状、米10年金利は1.37%、30年2.09%である。日本や欧州の長期金利はゼロ以下に突入し、反転の兆しもない。
これだけ多くの長期債がゼロ以下となると、利回りを求めて資金の流れが変わりつつあるように見える。市場の反応も、これまで見られたような、単純な「リスクオン」「リスクオフ」ではなくなってきている。
例えば、これまで株価が上昇すると「リスクオン」としてドル円が同時に上昇する(円安になる)シーンが見られたが、米国株が上昇してもドル円は追随しない。米金利があまりにも低下し、しかもFRB(米連邦準備制度理事会)の金融引き締め路線がどうなるのかわからない状況なので、ドル円に買いが入らなくなってきた。ドル円が上がらない(円高が続く)ので、日本株も上がらず、米国株と日本株のパフォーマンスの差が広がっている。
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