ヘリコプターマネーは、どうして危ないのか

金融政策は物価をコントロールできなくなる

アベノミクスをふかしてもふかしてもダメなら、ついに空からおカネをばら撒く?!(撮影:尾形文繁)

これまで「机上の空論」扱いされてきた政府・日本銀行による「ヘリコプターマネー政策」(以下、ヘリマネ)が全国紙の一面を飾り、ありうる政策の選択肢として堂々と議論されている。本当に投入されるとしたら、2013年4月開始の異次元金融緩和、2016年1月に導入が発表されたマイナス金利政策を上回る衝撃度である。

ヘリマネ政策の主唱者の一人であるベン・バーナンキ前FRB(米連邦準備制度理事会)議長が12日に来日し、安倍晋三首相と会談したために、先週はヘリマネが市場の話題をさらった。7月28、29日に開かれる日本銀行の金融政策決定会合を控え、「日本でもヘリマネ政策が導入されるのではないか」とマーケットの憶測を呼んでいる。

菅義偉官房長官が記者会見で「検討している事実はない」といくら否定しても、市場は浮き足立ったまま。黒田東彦日銀総裁が直前まで「考えていない」と言っておきながらマイナス金利政策を導入した過去を考えると、「あるかも」と市場関係者が考えるのは無理もないのかもしれない。

ヘリマネ観測だけが原因ではないだろうが、為替市場は7月15日に1ドル=105円台まで円安方向に大きく振れた。英国がEU離脱を決定した後、一時1万5000円台を割っていた日経平均株価は7月11日の週、5営業日の続伸となった。

「金融政策が尽きてしまったら」という問答

ヘリコプターに乗って空から紙幣をばらまく。そのイメージがわかりやすく、かつ鮮烈であることから、ヘリマネ政策は非常時の究極策だと受け止められている。昨年ごろから欧米の経済論壇ではこの政策の是非が活発に議論されている。

そもそもヘリマネ政策とは何なのか。ミルトン・フリードマン教授の言い回しを使い、広範にわたる減税とそれを補う中央銀行の紙幣増刷を組み合わせた「デフレに対抗するための究極的な戦略」の可能性について問題提起したのが、バーナンキ氏だった。

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