ヘリコプターマネーは、どうして危ないのか 金融政策は物価をコントロールできなくなる
しかし、後者では中央銀行による財政赤字ファイナンスが発生し、中央銀行は結局財政に追随して金融政策を決定せざるを得なくなる。どんなに中央銀行の独立性を与えられていたとしても、中央銀行は財政破綻を回避せざるを得ず、結果的に財政状況が物価を決める状況になる。これを「フィスカルドミナンス」(財政従属)といい、ドイツのハイパーインフレはまさにこれによって起きた。
財政健全化の約束は空文化
ひるがえって足元、日本で起きようとしていることをみると、後者が妥当するように見える。外形的には、日銀が独立して金融政策を決定している(日銀の政策委員会が政府から独立して金融政策の目標と手段を決めている)ようにみえるが、安倍首相の経済ブレーンから、金融政策の動きを予想する発言が出たり、ヘリマネ政策を推奨する発言が公然と飛び交ったりする。その一方、消費増税の先送り決定に象徴されるように、日本では増税は事実上不可能になり、財政健全化の約束は空文化している。
ゼロ金利下では金融政策は有効性を失い、財政政策の出番であるのはその通りだろう。しかし、それが健全財政を続けるドイツではなく、毎年数十兆円を垂れ流し、財政規律のない日本で議論されているのが物悲しい。
日本はまさにフィスカルドミナンスに陥りつつある。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら