NTTに挑む、関西の暴れん坊 光回線の雄、関電系のケイ・オプティコム藤野社長に聞く

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――顧客の開拓とともに、どのようなサービスを広げていきますか?

さらにADSLからの乗り換えを進めていきたいと考えています。近畿圏の世帯数は約900万世帯。光回線の普及率は5割弱なので、まだまだ契約を伸ばせます。普及率が上昇していく中、目先は150万契約、その先は200万契約を目標にやっていきたい。

サービス面も強化します。光回線はすでにADSL並みの価格ですが、まだ光回線に乗り換えないケースも多い。さらに言えば、ADSLすら使っていない方もいる。こうした層には、値段を少々下げたところで商品をアピールできない。ネットを使って何をするのか、そして何ができるのか、使い方がわかっていないからです。こちらから便利な使い方を提案していかなければなりません。

「固定」と「モバイル」を完全融合

――具体的には?

昨年6月には、タブレット端末を活用して買い物やアプリ、デジタルコンテンツなどを楽しめるサービス「スマートリンク」を開始しました。家庭では音声認識機能でエアコンやテレビなどの家電を操作できるし、電力の使用状況も端末で確認できる「電力見える化」のサービスもそろえています。

現在は合計100種類以上のサービスを提供していますが、買い物やヘルスケア分野など、まだまだ広げていきたい。タブレットのサービスを始めたのは時代の流れ。スマホは携帯電話の領域で、タブレットはパソコンに近い。これをうまく活用すれば、顧客を光回線に引き付けることができると考えています。端末はアンドロイド搭載のタブレットを採用しています。主婦や高齢者など、「パソコンは難しい」と思っている方にも気軽に使っていただけるのではないでしょうか。

国内の通信業界で、「固定電話とモバイルの融合」という流れが進む中で、当社も何か新しいサービスを生み出したいと思っています。KDDIと連携した「auスマートバリュー」は料金のみで、本当に融合したサービスとは言えません。

「外出先ではスマホ、家では光回線」。これをもっとうまく組み合わることができたらと。具体的には、通信ネットワークを携帯会社などから借りてサービスを提供する「MVNO(仮想移動体通信事業者)」など、さまざまなサービスの可能性を考えています。

(撮影:梅谷 秀司)

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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