銅市況のカギ握る中国

非鉄金属は、世界景気の「体温計」

非鉄金属の需要や価格動向について分析する場合、たとえばGDPとの比較や、1人当たり使用量、など単年やフローでの分析が中心となるが、そうした理由では、説明がつかないケースも増えている。非鉄金属の性格からすると、単年ではなく複数年で、また、どの程度社会にストックされてきたのか、という視点も必要な時期になっている。

 これまで需要面ばかりに焦点を当ててきたので、供給面について少々触れておきたい。近年、コモディティ価格動向を説明する際、例えば上昇トレンドにあるうちは次のような語句がレポートや記事で見られる。「経済成長期待」、「インフレ期待の高まり」、「ドル売り・コモディティ買い」、「資産効果による需要増期待」そして「供給懸念」などなどだ。原油・石油製品では「供給懸念」からさらに一歩進んだ「地政学的リスク」と表現される事態にもなる。また、穀物市場では「天候」がその年の価格水準を決める重要なテーマとなる。このようにコモディティの多くは、供給が不安定な状況に置かれており、非鉄金属も例外ではない。原油などと同様に地金の原料となる鉱石資源は以下に示す通り偏在している。

(鉱石生産量、各金属上位3地域、単位は万トン、データはUSGSより)
銅(1661)… チリ(537) / 中国(150)/ ペルー(120)
亜鉛(1303)… 中国 (460) / 豪州 (149) / ペルー (127)
鉛(519)… 中国(260) / 豪州 (63) / 米国 (34)
ニッケル (210)… フィリピン (33) / インドネシア (32)/ ロシア (27)

非鉄金属の供給抑制要因としてまず挙げられるのは天災である。チリは銅の一大産地であるが、地震多発地帯でも有名で度々大きな地震に襲われる。直近では2010年2月27日にチリ中部を襲ったマグニチュード8.3の地震だった。

このときは、情報が不足したことから供給不安懸念を払拭できず、週明けの先物市場には買い戻しの注文が集中的に入った。週末に7200ドルで取引を終えていたLME銅3カ月先物価格は週明けの同年3月1日に3%以上上昇した価格で取引が始まり1カ月ほどその高値付近での取引が続いた。また、洪水や干ばつなどの天災の影響なども、価格上昇に結びつくことがある。さらに鉱山会社と労働組合の労働協約改定も供給抑制要因となる。本来、その改定時期は事前に分かっているのだが条件が合わず交渉決裂した結果ストライキに突入という事態に至る。無論、資源ナショナリズムの台頭もありそれまでのルールが突然変わってしまうことなども供給を妨げる要素となる。

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