銅市況のカギ握る中国 非鉄金属は、世界景気の「体温計」
現在の私たちの身の回りを見ると、電話線は光ファイバー回線へと置きかわり、電話は携帯電話、スマートフォンが主流となっている。自動車の動力源と言えばガソリン・軽油だったが、ハイブリッド車の存在が目立ち始めている。このように、技術革新を経て成熟した社会において、非鉄金属の消費動向にはどんな変化があったのだろうか?
米国での銅地金消費量を例に、見てみよう。米国の「Copper Development Association Inc」の統計でその推移を見ると1991年225万4000トン→2000年333万5000トン→2007年235万6000トン→2011年193万7000トンとなっており、米国の銅地金需要のピークは2000年だった。
米国では2000年から2001年にかけて、ITバブルが崩壊した影響で、鉱工業生産は伸び悩んだが、2002年後半に回復が始まっている。では住宅はどうか?2000年代に入り民間住宅着工件数は安定的に150万から200万戸増(以下、年換算)で推移している。民間住宅着工件数のピークは、2006年1月の227万3000戸だったが、2012年12月の住宅着工件数は95万戸なので当時の住宅着工件数は、かなり高水準だったと言える。
ニッケルのような新しい金属の需要は堅調
インフラ整備に関しては、一度整備されてしまうとその後の投資は減速していく傾向にあるため、銅地金消費は頭打ちとなりがちだ。このことは、米国での特殊要因ではなく我が国でも同様の推移となっている。
では、果たして成熟した先進国では全ての非鉄金属需要が減少傾向にあるのだろうか?銅の減少傾向とは異なり、ニッケルのような新しい金属の需要は堅調なのだ。
左の表は2007年から2012年までの主要国・地域の銅とニッケル地金消費量を示している。米国は2007年には約215万トンの銅地金が消費されていたが、リーマンショックを境に需要が急減し、12年の消費量は2007年対比で47万トン減少している。米国の銅地金消費量のピークは約330万トンだったので、そのころと比較すると、半減していることになる。一方、ニッケルの消費量は銅のそれと比較すると、景気悪化による消費量の落ち込みはあるものの、米国ではリーマンショック前の水準に戻り、欧州でも2010年以降の消費量は回復傾向を示している。
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