私:「たくさんあるけど、2つだけ話をしようか。まずはね、頭の使い方が勉強になる。例えば、数学の因数分解ってあるね。あれは、複雑な形をした式が、いくつかの要素に分解したもので、成り立っているね。つまり、世の中の複雑な現象は、いくつかの問題に分解できて、その掛け合わせで起っているというように応用できる。
また理科では実験というのがあるよね。あれは、『多分こうじゃないか(仮説)と考え、それが本当にそうか実験して試す(検証)』という順序になるね。実は、この考え方は社会に出て働くようになれば当たり前にやることなんだけど、理科はただの暗記だと思って勉強していると、君の言うとおり、役に立たないね。しかし、このように問題への取り組み方、答えへの近づき方がわかっている人には、勉強したことが役に立っているんだよ。そう、学校の勉強内容すべてに意味があるんだ」
生徒:「そんな意味があるんですね。そういう話は聞いたことがなかったです」
私:「もうひとつはね、かなり重要なことなんだけど、それは自分の成長のために勉強があるということだよ。だからトップ校にいく人と比べて自分ができないという比較ではなく、1カ月前の自分と比べて成長したのかどうか、それが重要になるんだ。
また今、勉強して、仮に来年の入試で、自分が行きたい高校に合格できなかったとしても、今よりは成長しているよね。努力を続けた生徒は、来年2月には目標まで届かなくても、高校では、さらに伸びていくんだ。途中であきらめると、それが癖になって、何かあると諦める人間になってしまう。高校受験で人生が終わるんじゃないんだからね、人生にはまだまだ先がある。しかし、コツコツ努力し続ける人が、最終的に成長できる人になり、自分のやりたいことができるようになっていくんだよね」
生徒:「なるほど、そういうことなのですか!」
私:「だから、目先の受験のための勉強という意味も確かにあるけど、やるだけやって仮にダメであっても、その先でさらに伸びていける人になりたいと思わないか?」
勉強することの意味がわかれば意欲的に頑張る
このような話を私は今まで幾度となくしてきました。中学生、高校生対象の講演会でも、必ず話すテーマのひとつです。生徒は、勉強することの意味がわかれば意欲的に頑張っていきます。今までつまらないと思っていた勉強に対する見方が変わります。
趣味や部活動でも、同じではないでしょうか。試合やコンクールで勝てない、トップになれないのになぜやるのでしょうか?「楽しいから」「やっていて意味を感じるから」「仲間との連帯感があるから」など、理由はたくさんあることでしょう。
勉強も同じです。意味があるのです。ただ、意味がないようなやり方をしていたり、意味を認識できる機会がなかったり、強制的・義務的であったりするために、「なぜやる必要があるの?」と悲観的になってしまうのでしょう。
お子さんの「勉強して意味あるの?」という質問は、こうした疑問に答える絶好のチャンスです。ぜひこうした視点から、お子さんに話をされてみてはいかがでしょうか。
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いしだ かつのり / Katsunori Ishida
1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。
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