孫さんガッカリ?IoT普及阻む決定的な問題 ケヴィン・ケリー氏が斬る!

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それだったら、私たちからどんな情報を集めてどう使っているのかに関して企業や政府の透明性を増す「共監視(Co-veillance)」になるように求めなければいけない。トラッキングは不可避だが、共監視は私たちが求めなければできない。トラッキングされるのであれば、それを行う企業や政府との間に正当な関係を構築するべきだ。

――私たちがどんどんパーソナル化を望むようになっているのは、テクノロジーの存在が大きいのではないでしょうか。

今、私が君のスマホを取り上げたら、君はものすごくアンハッピーになるだろう。それはスマホでつねにコミュニケーションをとりたいと考えているからだが、そんな欲求は200年前には存在もしなかった。テクノロジーはつねに新たな欲求を作り出す。

過去と未来を選べるなら誰もが未来を選ぶ

――このまま行けばどうなるのでしょう?

「〈インターネット〉の次に来るもの ~未来を決める12の法則」(画像をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

テクノロジーは今後も、私たちが考えもしなかった欲求を生み出していくだろう。30年後には、今日の私たちが思いつきもしないモノやサービスに対する強い欲求を持っていることになる。たとえば、自分の子孫に受け継ぐために自らの記憶をすべて記録する機能や、自分の子供の記録VRの中に残して、子供が大きくなったときにVR上で母親が自分を抱いている感覚を味わえるといったような機能は今でもニーズがある。

――私たちは今よりもよい世界へと進んでいるのでしょうか。テクノロジーによって今よりよい暮らしができるのでしょうか。

それは間違いない。たとえば、過去でも未来でも好きなタイミングに生まれることができるとする。ただし、過去に行こうと未来に行こうと、どこの国で誰に生まれるかは選ぶことができない。ひょっとしたらマウイの女の子になるかもしれないし、どこかの国の国王になるかもしれない。ほとんどの人は過去に行くことを選ばないだろう。なぜなら奴隷に生まれ変わる可能性もあるからだ。

過去のほうが今よりもずっと不平等な世界だった。今でも不平等はあるが、平均的には今のほうが過去よりよい暮らしを送れるようになっている。そして未来はもっとよくなる。私は進化の効果を信じている。実際、過去200年間で人々の暮らしが向上し、環境も改善されたことは科学的にも証明されている。私の楽観的な予測は歴史に基づいているんだ。

(撮影:今井 康一)
 

倉沢 美左 東洋経済 記者

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くらさわ みさ / Misa Kurasawa

米ニューヨーク大学ジャーナリズム学部/経済学部卒。東洋経済新報社ニューヨーク支局を経て、日本経済新聞社米州総局(ニューヨーク)の記者としてハイテク企業を中心に取材。米国に11年滞在後、2006年に東洋経済新報社入社。放送、電力業界などを担当する傍ら、米国のハイテク企業や経営者の取材も趣味的に続けている。2015年4月から東洋経済オンライン編集部に所属、2018年10月から副編集長。 中南米(とりわけブラジル)が好きで、「南米特集」を夢見ているが自分が現役中は難しい気がしている。歌も好き。

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中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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