孫さんガッカリ?IoT普及阻む決定的な問題

ケヴィン・ケリー氏が斬る!

空気で充電できるとか、バッテリーに代わる充電方法が出てこないかぎりはIoTの実現には時間を要するだろう。そんな技術がはたしてあるかわからないが。それが、私がなかなかIoTに関しては熱狂できない理由だ。不可避だと思うし、重要な技術でもあると思うが、AIほどのインパクトはないだろう。

――ケヴィンさんは多くのテクノロジーの潮流の中でも、AIの影響力が最も大きいと話していますが、IoTはAIの機能向上にも一役買えるのでは?

確かに長い目で見た場合、IoTによってAIの効果を最大限に享受できるようになるだろう。それぞれのAIが単独でスマートになっていくことは可能だが、それぞれが、自分が学んだことをシェアできればよりスマートになることができる。互いにつながり合うことでより柔軟で、使いやすい技術にもなる。25年後はわからないが、100年後くらいにはそういう状態になっているだろう。

どの会社が勝者になるかは予測不能だ

――今後20〜30年でIoTはどの程度の進化が見込めるでしょうか。

Kevin Kelly/WIRED誌創刊編集長、著述家、編集者。1984~90年に雑誌、ホール・アース・カタログなどの発行編集を行い、1993年にWIREDを創刊。1999年まで編集長を務めるなど、サイバーカルチャーの論客として活躍。現在はニューヨーク・タイムズ、エコノミスト、タイムなどで執筆するほか、WIRED誌のSenior Marverickも務める。著書は『ニューエコノミー勝者の条件』(ダイヤモンド社)や『テクニウム--テクノロジーはどこへ向かうのか?』(みすず書房)など多数

バッテリーの技術がどの程度進化できるかによる。たとえば、タブレットの近くにスマホを置くだけで充電できるとか、近距離無線通信の技術を使って家中のモノを一気に充電できるようになれば、ものすごい進化だが。スマートにする技術はあるが、エネルギーの問題は大きい。なんぼなんでも、コーヒーカップや傘をコンセントにつないで充電したくはないだろう。

――IoTの世界で勝者になるのはどの会社でしょうか。

本でも強調していることだが、私たちは未来のトレンドを予測することはできるが、特定のことを予測するのは不可能だ。谷に雨が降ったとして、その雨が地面に落ちて川に向かっていくことはわかるが、どの道を通って谷を下っていくかはまったく予測できない。

IoTは不可避だが、その中でどの会社が覇権を握るかは予測不可能だ。たとえばそれは、経営者だったり、ファイナンスの状況だったり、複数の要素によっていくらでも変わりうる。勝者を予想することは時間の無駄だ。

電話の誕生は不可避だったが、iPhoneは不可避ではなく、予測はできなかった。インターネットの普及は不可避だったが、ツイッターが出てくるとは予測できなかった。私には今後どんなタイプのソーシャルメディアが誕生するかは予測することができても、どの会社が勝者になるかは予測できない。

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