マクドナルド・原田社長、神話の終焉か 7期ぶり営業減益で問われる真価
だが、10~11年の「ビッグアメリカ」ハンバーガー投入後から、高価格商品は勢いを失い始める。
とりわけ12年夏の、世界のご当地バーガーを複数販売した「世界の★★★マック」キャンペーンは売れ行き不振から、開始わずか2週間あまりでセット価格を100円近く値下げせざるを得なかった。不需要期である夏季に大型商品を投入するというマーケティングの失敗に加え、東日本大震災後の消費不況や低価格志向の強まりを見誤った。
客数は伸びても客単価は下落
新規客を呼び込むための低価格商品については、100円メニューの拡充に加え、集客増を狙った値引きキャンペーンを多用した。たとえば、ビッグマック(300円前後)を200円にする割り引きキャンペーンは、07~09年に1回実施しただけだが、10~12年では5回行っている。
だが、集客効果はあっても、その後も単品購入にとどまり、高価格商品の拡販には結びつかなかった。10年以降、客数は伸び続けるが、客単価の下落が続くのはそうした理由からだ。
マーケティングに詳しい金森努・青山学院大学非常勤講師は「そもそも日本の総人口が減り、外食市場の縮小傾向が続く中、客数増を前提に低価格で集客を図るマクドナルドの戦略は奇策だ」と指摘する。
マクドナルドの本来の顧客は500~600円のセットメニューを求めてやってくる。ところが客数と利益を稼ぐために100円商品や無料配布を拡充し、700円台のセットメニューを投入してきた。結果、700円の高価格メニューは伸び悩み、「100円マックは本来の顧客ではない人、商品が欲しくない人にまで売り込んでいる」と金森氏は指摘する。
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