「出身中学」で就職が有利になるのは正しい 「企業が欲しがる人材」はこうして育つ
今、家族のコミュニケーションが疎かになりがちな状況や、子どもの健全な感情が育ちにくくなっているという社会的背景があるのです。開成中を目指す家庭では、両親がそれぞれキャリアを持ちながら共働きをして、祖父母に子育ての一部を頼っているケースもあることでしょう。その一方で、祖父母とどうコミュニケーションをとったらよいかわからずにいる子どもたちが増えているという懸念もあります。
いずれにしても、開成中は子どもの家庭環境に強い問題意識を抱いているのです。
文章から感情を読み解くことができない子どもたち
一方で、近頃は文章から感情を読みとれない子が増えており、教育の現場で問題視されています。私自身も指導をしていてギョッとさせられたことが何度もあります。
たとえば「太郎君が肩を落として涙を流していた」と書いてあっても、そこから「太郎君が悲しんでいる」ということを読み解けない子がいるのです。「悲しんでいる」と直接的に書かれていればわかりますが、「肩を落とす」「涙を流す」という描写から感情を読み解くことができない。国語教育において由々しき実態が現実にあるのです。
苦肉の策として、私の友人である塾の先生は「涙を流す=悲しい」と子どもたちに暗記させているといいます。
こうした危機的状況を踏まえ、有名中学の国語の入試で暗記や理屈だけでは解けない「心を通わせる力」や「共感する力」を試す問題が出題されるのです。おならを題材にした開成中の入試問題は、その典型例です。
「塾ではこんなことを教えてくれませんから、家庭でしっかり情操教育をしてください」というメッセージが込められていると私は考えています。実際、いくら学力が高くても情操に乏しい子は、解答するのに苦戦しました。
この詩を題材にした問題の問二を見てみましょう。
おならが美しいと感じたのは、孫に対して深い愛情があるからです。このことを詩から感じとれれば、小学生にとっても決して難しい問題ではありません。
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