桑田佳祐「ヨシ子さん」が中年の脳に良い理由 欲求を抑えすぎても男は人生を謳歌できない
確かに欲求は取り扱いが難しいものです。欲求のおもむくままに行動をすれば、日常生活に支障を来すこともあるでしょうし、人間関係を壊したり、信用を失ったりすることだってあるでしょう。また、法律や規則を破ってしまうこともあるかもしれません。それくらい、やっかいで、面倒で危険なものです。
では、欲求はできるだけ抑制すべきものなのかといえば、答えはノー。少なくとも脳科学的な観点から言えば、欲求は、扱い方さえ間違えなければ、脳を活性化させ、その機能を高めてくれるすばらしいものなのです。
私たちの脳には、頭の前方に位置する超前頭野と呼ばれる場所があります。脳は、年をとると、場所によっては萎縮しやすい部位があるのですが、実行力や判断力を司るこの超前頭野が成長をするのは50代を過ぎてから。しかも75歳以上の高齢者でも、元気な人にはあまり萎縮が見られないことが明らかになっています。
さらに、これまでの研究で、超前頭野が活発に働く人は、ストレスに強い耐性があることもわかりました。そして、このストレスを「押し返す」ものが、ほかならぬ欲求です。超前頭野は、欲求を強い意志で実行していく力を生み出します。だからこそ、私たちは、超前頭野を鍛え、欲求をたくましく育てる必要があるのです。
欲求の多い女性、欲求が不足する男性
『ヨシ子さん』では、桑田さんは、日本の男はもっと元気を出してギラギラしなさい、と強烈なメッセージを投げかけます。「今、幸せか?」と問いかけ「ヤッちゃえ」とハッパをかけます。「男性の欲求欠乏症」にカツを入れるのです。
厚生労働省の「男女別百歳以上高齢者数の年次推移」によると、100歳以上の高齢者6万人のうち、男性はわずか8000人弱。この違いは、私は「欲求の差」にあると感じています。あくまでも一般論ですが、男性と女性を比べると、次のような違いが見られます。
●話題に事欠かない
●近所の人と交流がある
●特定の話題しかしない
●交流の機会がない
女性は、欲求不満が続いても新しい欲求を求める傾向が強いのに対して、男性は欲求が満たされないと、欲求喪失になり、つねに欲求が不足した状態に陥りやすいといえます。せっかく50歳から超前頭野が成長のピークを迎えるのに、男性は欲求を欠乏させている生活パターンに陥っている。これはとてももったいないことだと言えるでしょう。
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