105円突破でも私が日本株を買わない理由 トレンドが出るまで無理に動く必要はない
さて、ドル円に大きな影響を与えるのは、やはり米国経済だが、前週に発表になった米国経済指標は、堅調なものが目立った。このことからすれば、ドル円も上昇に向かう可能性が高まっていた。米国株も堅調となり、米国債が売られ、利回りが上昇するなど、再び利上げの可能性も高まってきそうな雰囲気になっていた。
しかし、こうした状況を打ち消しているのが、欧州通貨安のリスクである。米国経済が堅調なのにもかかわらず、ドル円がドル高の方向に結果的に進んでいないのは欧州リスクがあるからだ。現在のレートは1ユーロ116円前後、1ユーロ1.10ドル前後である。このリスクが存在する限り、ドル円は上昇しづらい状況が続くといわざるを得ない。
19日以降、来週にかけて、市場は日米の金融政策の方向性に注目するだろう。日本では、景気刺激策に勢いを付けるためにも、日銀の金融政策決定会合(28~29日)での追加緩和が不可欠との見方が浮上している。
もし、現在のような市場環境で「無策」となれば、市場は「後世に禍根を残すほどの問題」として、日本株に売りを浴びせるかもしれない。また、緩和策を導入した場合でも、中途半端なものであれば、それはそれで売り込まれるきっかけになろう。
一方、米国(26~27日の米公開市場委員会)では、利上げの見送りは決定的である。しかし、今後の政策に関する方向性が示されれば、それが米国株やドルの方向性を決める可能性がある。来週後半までは動きづらい展開になるかもしれないが、それまでにドル円が108円を超えるかを注視したい。
また、8月に入れば、この水準は105円台半ばにまで低下するだろう。材料次第でドル円の水準は上下しそうだが、最終的な判断はトレンドを見ていくしかない。材料面を頼りにトレードの判断を下すのは、いまは特に難しい。
上述の永久債やヘリコプターマネーの材料が、ドル円や日本株にどの程度織り込まれているのかは不明である。しかし、当面の方向性は少なくとも来週末までにははっきりする。
それまでは慎重に相場の方向性を見極めることが肝要だ。方向性が明確ではない時期に無理に動く必要はないというのが、現状の筆者のスタンスである。しかし、結局は、戻り売りスタンスは変わらないと考えている。
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