急伸freeeには人材が集まる仕掛けがあった 伸びる会社にはワーク・ルールズがある

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――しかし、そうしたインセンティブは長続きしませんよね?

そうですね。だから重要なのは、今いる社員にこの会社で働くことが楽しい、意義のあることだ、と考えてもらうことです。そうでなければ紹介をしようとは思いませんよね。実は6月に従業員満足度アンケートを実施したのですが、95%の人がこの会社を誇りに思ってくれていました。匿名アンケートであったにもかかわらず、です。この従業員満足度の高さがfreeeの採用力に直結していると思います。

――社員は何を魅力に感じているのでしょうか。

freeeはテクノロジーの力で起業家や中小企業の経営を革新していくお手伝いをしている。その点で社会的な意義があるもので、これを私たちは「ムーブメント」と呼んでいるんですよ。多くの30代の転職者は「子供に誇れるような仕事をしたい」と言って転職してくる。子供に誇れる仕事、というのは重要なキーワードかもしれません。

新卒採用も重視しています。新卒とはいいながら通年で採用をしており、内定を持っている学生が、その内定を蹴ってfreeeに来る、という例もたくさんあります。だいたい1年前に就職先を決めてしまうのはおかしいと思うんですよ。その間にいろいろと変わりますし…。入社した新卒は本当に優秀でバイアスなく、まっすぐ育っている感じ。活躍しているメンバーが多いです。

「マネージャー」ではなく「ジャーマネ」

――新しいメンバーを受け入れるビジネスユニットにおけるマネージャーの役割も重要ですね。

freeeでは、芸能界と同様に、チームを率いるマネージャーのことをジャーマネと呼んでいます。タレントの世界では、主役はタレントであってマネージャーの役割はそのパフォーマンスを最大化するように支えること。それは企業組織でも同じですよね。

ジャーマネ教育も重視しています。この2カ月くらいは4月にジャーマネになったひとのための勉強会をやっています。『まずルールを破れ――すぐれたマネージャーはここが違う』『あなたのチームは、機能していますか?』などの本を輪読する中でいろいろなことを学んでいく、ということをやっています。

――今後の課題は?

会社が取り組んでいるムーブメントを社会に広げていくことです。スタートアップや中小企業ではCFO(最高財務責任者)の役割を人工知能に置き換えていったほうがいい。そんな「人工知能CFO」を生み出して提供していく会社になりたい。そのためには、まだまだやるべきことがあります。

社員の働きやすさという点では、今の本社(五反田ファーストビル)は手狭になってきました。フロアが8~10階と地下1階に分かれているところも難点。もう5回も引っ越しをしているので、次に引っ越しをするときには長い間居続けられるような広めの場所を借りて、働きやすい環境をつくっていきます。

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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