「青天井」の任天堂株価、どこまで上がるのか 「トランプ旋風」に6倍高の思惑も

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もっとも、すべての市場参加者が強気というではない。市場では「ここ数日で『ポケモンGO』の社会問題化が、クローズアップされてきた。今後の既存のゲーム機ビジネスへの悪影響も懸念される」(高木証券・企業情報部長の藤井知明氏)との声も出ている。

また、足元の急ピッチな株高を受け、同社株に投資家の資金が集中している。15日の売買代金は4760億円に上り、13年5月に東京電力(現東京電力HD)<9501.T>が付けた個別銘柄としての過去最高記録4456億円を更新。東証1部全体の売買代金の約15%(前日は17%)を占めた。

こうした一極集中ぶりに、市場では「任天堂の株価が崩れてしまえば、全体相場も一気に崩れる恐れがある」(国内投信ファンドマネージャー)との声も聞かれる。

ミョウジョウ・アセット・マネジメントCEOの菊池真氏は「広汎にわたり業績懸念があるなか、グローバル景気に関係のないゲーム関連などには関心が向かいやすい」とする一方、「極端に1銘柄に一極集中するというのは、株式市場全体に懐疑的な見方が広がっている証拠でもある」との見方を示す。

利益貢献を見極めへ

任天堂株の予想株価収益率(PER)は112倍、株価純資産倍率(PBR)は2.87倍とバリュエーションでは評価できない水準に上昇してきている。

過去3度の大相場においては、任天堂は着実に売上高を伸ばしており、大相場には一定の裏付けがあった。しかし、今回の「ポケモンGO」ブームがどう業績に貢献するのかは、まだ見えない。

任天堂は「ポケモンGO」のアプリを直接手掛けていないため、利益は株式の持分などに応じた計上となる。米国などでは社会現象となりつつあるが、任天度がビジネス面でどのような広がりをみせていくかはまだ未知数だ。

「スーパーファミコン」など自社のハード機器から、スマホにビジネスの中心が移った場合、過去の大相場を当てはめてよいのか──。投資家も模索することになりそうだ。

 

(長田善行 編集:伊賀大記)

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