中国大慌て、「南シナ海領有が否定された!」

国際仲裁裁判所は、どんな判断をしたのか

さらに判決は、20世紀の末以来フィリピンと中国が争っているスカボロー礁、および中国が埋め立てと飛行場などの建設工事をしているスプラトリー諸島(中国名「南沙諸島」)について次の趣旨の判断を下した。

・これらの岩礁はいずれも海洋法上の「低潮高地(注 低潮時にだけ海面に姿を現す岩礁)」や「岩」である。
・これらの岩礁を基点として排他的経済水域(EEZ)や大陸棚の主張はできない。
・一部の岩礁はフィリピンのEEZの範囲内にある。
・中国による人工島の建設は、軍事活動ではないが違法である。
・中国がフィリピンの漁船などの活動を妨害したのも違法だ。
・スカボロー礁で、中国の艦船は違法な行動によりフィリピンの艦船を危険にさらした。

 

つまり、判決は中国の主張をほぼ全面的に退けたのだ。

裁判結果が公表される直前まで南シナ海で演習

中国は以前から仲裁裁判を拒否してきた。しかし、仲裁裁判に無関心だったのではなく、裁判結果がどうなるか、強い懸念を抱いていた。また、中国としては、判決が中国に不利なものとなる可能性が高いと予測していたのだろう。判決が出る以前からフィリピンに対して裁判申し立てを撤回するよう求め、中国海軍はこの裁判結果が公表される直前まで南シナ海で演習を行った。また、外交面では王毅外相が東南アジア諸国の外相やケリー米国務長官にも異例の働きかけを行った。これらは中国が心配していたことの証左であった。

今回の裁判結果について中国外務省は12日、あらためて「無効で拘束力はなく、受け入れず認めない」との声明を出した。

しかし、実際にはこの裁判結果は中国に強烈な衝撃となるだろう。南シナ海、東シナ海および台湾に対し最も強硬な主張を行い、スプラトリー諸島(南沙諸島)で一方的な行動をとっているのは軍であり、判決に対し強烈な不満を覚えているはずだ。

これに対し、中国を世界の大国にまで押し上げ、米国との関係強化も必要な習近平政権としては軍の行動を抑えたいが、軍は中国国内の安定を維持するための要であり、抑制するのは極めて困難だ。国際仲裁裁判所の判断は、この困難な状況にさらに強烈なくさびを撃ち込むものだと思う。もちろん中国として、今般の裁判結果を、中国が国際化し、合理的な対応をできるように変化する契機にするならば、このくさびは建設的な刺激となるが、そうなれるだろうか、疑問はぬぐえない。

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