中国は、南沙紛争で軍事衝突の道を選べない

同床異夢の状況に日本はどう応じるべきか

南沙諸島の領有をめぐる周辺国の争いは、ますます激化している(写真:REUTERS/U.S. Navy/Handout via Reuters)

12月18日、南沙を巡って、アメリカ発の奇妙なニュースが世界を駆け巡った。「B52爆撃機が、誤って中国が支配する領域へ侵入してしまった」というものである。

このニュースをきっかけに、米中の意図せぬ武力衝突の可能性が高まりつつあるのでは?との懸念が広まっている。しかし、その可能性はおそらくそれほど高くはない。この稿では、南沙を巡る情勢を分析すると同時に、日本が取るべき"関与政策"について論じていく。

B52侵入による誤解を避けた米国

報道を総合すると、B52の侵入は、天候不順によって飛行コースの変更を余儀なくされたために発生したもののようだ。その事態に関して、国防総省の報道担当者は、それが意図せざる侵入であること、米軍の飛行計画に合致していないこと、何かの手違いによって発生したことを明らかにした。

明確な遺憾の意の表明こそないが、実に歯切れの悪い声明であり、あたかも米空軍や該当する爆撃機のパイロットが命令違反を犯して領空侵犯でもしたかのように受け取れる。

しかし、米国防省の説明を真に受けるのは難しい。現代の航空機は、GPSのみならず、多様な航法装置の援助を受けて飛行している。軍用機とて例外ではない。コースアウトすることはまずあり得ない。

次ページ何が原因なのか
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 赤木智弘のゲーム一刀両断
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • コロナショック、企業の針路
  • コロナ後を生き抜く
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
文具業界を揺るがす動乱<br>「コクヨvs.プラス」の全真相

昨年末のぺんてる株をめぐる文具2強によるプロキシーファイト(委任状争奪戦)。両社のバトルには、8月に設立したプラスの卸子会社が2年前の計画で一度頓挫していたことにも伏線が。縮小する文具業界再編をめぐる壮絶な主導権争いに迫ります。