中国の南シナ海進出が招いた豪州の政策転換 「国際的なルール」は全関係国を拘束すべきだ

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南沙諸島で撮影。提供写真(2016年 ロイター)

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南シナ海で中国が人工島を造成し、軍事拠点化を進めていることで、豪州は政策変更を余儀なくされた。同国の新防衛白書で、「ルールに基づく国際秩序」の維持が優先事項の中核に据えられたのだ。

一国の防衛関係の綱領にこうした文言が記載されるのは異例だ。しかも、これまで米国の政策を後追いしてきた豪保守政権の手によって書かれたのだから、驚きに値する。

豪州は米国という戦略的パートナー、中国という経済的パートナーとの間でゼロサムに陥る選択だけは避けたいと考えている。そのため防衛白書の文言の選び方には、かなり工夫が凝らされている。

特徴は、すべての関係国・地域に対して拘束力を発揮するというものだ。米国の政策立案者は他の多くの国とは異なり、こうした点に本質的な魅力を感じない。口ではこうした概念を褒めそやすが、国際的なルールに縛られようという発想は、米国当局のDNAには含まれていないのだ。その最たる例は2003年のイラク侵攻だ。さらに米国は、南シナ海で非常に重要な意味を持つ、海洋法に関する国際連合条約 (UNCLOS)にも加盟していない。

中国は4つの方向転換を迫られる

とはいえ、豪州の防衛白書が直接的に牽制しているのは中国だ。南シナ海で起きていることが何であれ、ルールに基づく国際秩序が尊重されているとは断じて言えない。この方針により、中国は以下の4点で方向転換を迫られそうだ。

1点目は、南シナ海の西沙(パラセル)諸島や南沙(スプラトリー)諸島などで領有権を主張している島々について、中国は個別に切り分けて対処する必要が生じそうなことだ。さらに領有権の主張が他国と重なった際、国際的な仲裁機関を通じた解決が望まれることになる。

2点目は、中国が独自の基準線として、その内側の領有権を主張している「九段線」の放棄を迫られることだ。また放棄のみならず、「歴史的水域」「伝統的な漁場」といった確たる根拠のない主張も撤回する必要が出るだろう。

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