いまだ燻りつづける、わが国の領土問題

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いまだ燻りつづける、わが国の領土問題

東シナ海の資源開発と境界画定

この9月に、「海洋基本法」とともに、排他的経済水域(EEZ)での掘削作業の安全確保を図る法律「海洋構築物安全水域設定法」が施行されました。これに伴い、内閣府に「総合海洋政策本部」が設置されました。いま日本近海では、天然ガス、メタンハイドレートなどの海底エネルギー資源が注目されています。そのため、これまで漁業権利の関係から議論されていた領土問題も、「資源問題」として見られ始めています。そうした背景のもと、海洋基本法と海洋構築物安全水域設定法が成立したのです。

現在、東シナ海のガス田開発や尖閣諸島という日中関係、竹島の領有権問題に関する日韓の対立、北方四島といった隣国との領土問題を解消し、国益を保護することが重要となっています。そこで今回は、インド洋上での自衛隊の給油問題ばかりに注目が集まる中であまり注目を集めない「わが国の領土問題」についてまとめたいと思います。

2003年8月、両国の境界が未画定な東シナ海において、中国が日中中間線から約4キロメートル西に位置する白樺油ガス田(中国名、春暁)の開発を始めました。現在ではガスの採取までを始めているようです。開発が始まった当初は、我が国では日本の資源が奪われるとの懸念が広がり、これが海洋基本法の議論を加速しました(法律を作ったら後は関心が落ちたようですが、福田首相は年内の訪中でこの課題は絶対に押し通すべきです)。

いま同海域では、日中双方が領土権利を主張しています。この問題については、私も参議院経済産業委員会の委員として、国会で様々な議論を行っていますが、現状では、日中局長級協議が行われています。この協議は今年10月までに10回開催されています。また、外相会談や首相会談でも、たびたび取り上げられています。しかし、衝突を回避するためか、両国から権利を強く主張するような話は出ておらず、協議においても議論は平行線を辿っています。そうした中でも、中国のガス田開発は着々と進んでいます。2007年1月31日付の香港紙は、白樺油ガス田が既に生産・供給段階に入っていると報じています。また、樫ガス田(中国名:外天)も、開発・生産が進められていると伝えられています。

両国の境界について、日本は、「両国の沿岸線から等距離の中間線」と主張していますが、中国は、「大陸棚が終わる地点を境界線とする自然延長論の立場から、中国の大陸棚が南西諸島西側に広がる沖縄トラフまで」と主張しています。国連海洋法条約は、「境界画定については衡平な解決」を要件としており、具体的な基準は示していません。つまり、境界をどう定めるかは、両国間で議論を進めていくしかないのです。政府そして国会議員がきちんと問題を認識して、議論するべき大きな課題です。

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