アベノミクス相場「第二幕」の始まりはいつか 山崎 元が読む、ちょっと先のマーケット

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巷間いわれるように、政権が7月の参議院選挙を気にして、財務省が秋に予定されている消費税率引き上げの可否の判断を気にしているのだとすれば、「いいムード」を夏まで保たせるためには、相場のスピード調節が必要になる。

円安の実現はアベノミクス相場の全てを握る鍵だが、率直にいって、スピードを出しすぎると危ない。「金融緩和の結果の通貨安」は世界的におおむね容認されるところだが、通貨安を直接的に達成しようとしていることが見えると批判の対象になるし、特に米国から批判を受けた場合に、日本政府には抵抗する根性がなさそうだ。

スピードは距離(=値幅)÷時間であり、ほどよい時間潰しと、いいタイミングで上値を追わせるための材料とが必要になる。
 本当に、そのような操作が可能なのかどうかは、「神のみぞ知る」(≒筆者は知らない)世界だが、今後のカレンダーを想定しつつ、どこにどんなサプライズがあり得るのかを想像することが、マーケットというゲームに参加するプレーヤーに求められることだ。あたかも、レースの展開を読むがごとく。

アベノミクスのメカニズムとは

ここで、アベノミクス相場のメカニズムを確認しておこう。

ここまで円安と株高が実現してきた直接的な原因は何だったのか?
 それは、インフレ期待が起こったからだ、といえば、素直で直截な解釈だが、些か機微に乏しい。ある論者は、「インフレ期待の通りの円安とインフレになっても、将来、売値もコストも両方上がるのだから、景気は良くならない」というが、こうした杓子定規な思考実験も同様である。

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