衆議院総選挙での自民党大勝をうけて、18日に、日経平均株価が1万円を超えた。為替レートも20日現在で84円台に乗せている。
新首相になる安倍晋三氏が、選挙期間中から訴えていた「デフレ脱却のための大胆な金融緩和」に期待した買いによるものだ。ほぼ本連載の初回で期待したような展開だが、これが早々に実現した(編集部注:11月16日配信号で山崎氏は日経平均1万円到達の可能性に言及。同日の終値は9024円だった)。
巷には、安倍氏の経済政策に対して「アベノミクス」などという造語も行き交っていて、マーケットでは、新政権の経済政策が注目されている。
では、アベノミクスはデフレ脱却に効果があるのか。
投資家としてのアベノミクスチェック法とは?
アベノミクスは、1)2%(以上)のインフレ目標設定、2)日銀による金融緩和拡大、3)公共事業による需要追加、の三つの経済政策のパッケージだ。
3)はもっぱら政府に責任がある財政政策であり、日銀だけでできる政策ではないことに注意が必要だが、日銀が何をして、どのような情報を発信するかが重要であることは間違いない。
デフレ脱却に向けた効果は、十分な規模と、継続性と、適切な情報発信があれば、理論的には「ある!」といってよい。ただし、政策が効果を現すまでには「タイムラグ」(1年以上か)があるし、もちろん、今後、実際に何が行われるかにかかっている。
本稿では、読者が「株式を買っていて株価が上がると嬉しい人だ」と仮定して、今後のアベノミクスを評価する上でのチェックポイントを8つあげる。
以下、(番号)採点項目、(採点基準)、筆者の予想とコメントと並べてみる。
(1) 日銀が掲げるインフレ目標の数値と表現がどうなるか?
「2%」と明確に言うなら予想通りなので0点、「2%以上」を許容するニュアンスを出すならプラス1点、「2014年度以内に」等期限に言及するならさらにプラス1点。2%への引き上げすら明示しないならマイナス1点。
安倍氏は明確にインフレ目標の引き上げを求めており、総裁・副総裁人事、さらに日銀法改正の可能性まで見せられている日銀は、組織防衛上もゼロ回答(=インフレ目標1%のまま)というわけにはいくまい。
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