遠藤功「Made in Japanにこだわる日本電子」 ニッポン中堅企業の秘めたる爆発力

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弱みを克服すれば、強みが活きる

日本電子はある意味では日本のものづくり企業の縮図のような会社である。高い技術力を持ちながら、業績的には低迷。「利益を生まない技術」「マネジメント不在の技術立社」といった代名詞がこの会社にも当てはまった。

その日本電子がV字回復を遂げつつある最大の理由は、次の2つに集約される。

(1) 自社の「弱み」を真正面から見据え、克服する

日本電子の高い技術力は誰もが評価する。しかし、経営は技術だけで成り立っているわけではない。技術に傾注する余りに、日本電子のこれまでのマネジメントは自社の「弱み」に目を向けることを避けてきた。

その結果、固定費の増大、コスト意識の薄れ、縦割り組織の弊害、風土の沈滞化といった「弱み」を招き、それが企業としての競争力の足を大きく引っ張っていた。

多くの日本企業は追い込まれないと「弱み」に手をつけようとしない。しかし、熾烈なグローバル競争において、「弱み」は命取りだ。海外勢は日本の「弱み」を意識的に突いてくる。「弱み」を放置しておいたまま勝ち抜けるほど、グローバル競争は甘くない。

たとえ大きな痛みを伴おうが、「弱み」から逃げずに、真正面に見据え、克服する努力をしなければならない。「弱み」を克服することは、勝者になるための必要条件なのだ。

(2) 「ダントツの強み」を磨く

「弱み」を克服すると、「強み」が俄然活きてくる。競争相手につけ込む隙を与えないから、「強み」がそのまま競争力として輝きを増す。但し、その「強み」は並のレベルではいけない。競争相手がひるむような「ダントツの強み」に磨き上げることが必要だ。

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